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【埼玉】

<ひと物語>「令和」追い風 町おこし 「紫草と万葉の会」代表理事・福島進さん

「新元号で万葉集への関心が高まれば」と話す福島さん=いずれも小川町で

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 「新元号『令和』の出典が万葉集と聞いて、最初は驚きました。今は万葉集ゆかりの小川町のPRと、にぎわいにつながればと思っています」。小川町のNPO法人「紫草(むらさき)と万葉の会」代表理事の福島進さん(70)は、そう言うと顔をほころばせた。

 小川町は、鎌倉時代の学僧・仙覚(せんがく)が初めての本格的な万葉集注釈書「万葉集注釈」を完成させたゆかりの地。会は、町特産の和紙を使った「万葉の花カレンダー」や「万葉の花はがき」などのオリジナル製品を手作りし、万葉集を通じた町のPRをするほか、万葉集に歌われた絶滅危惧種の多年草ムラサキの保護に取り組んでいる。

 ムラサキがかれんな白い花を咲かせるこの時季。会は二十五日〜六月二日(二十七日休館)、同町の埼玉伝統工芸会館で「第四回紫草と万葉の花展」を開く。会員が育てているムラサキの鉢植えやベニバナ、アカネなど約百二十種の万葉植物のほか、ムラサキの根を染料にしたスカーフやショール、ハンカチも展示する。

 「過去三回は二日間の開催でしたが、今回初めて八日間に拡大し、準備を進めているところで『令和』の発表がありました。万葉集への関心も高まっているのでは」と期待する。

 会は、ユニークな理科教材開発や実験指導の研究で知られる都留文科大(山梨県)の山田暢司特任教授らが、万葉集の勉強会やムラサキの保存活動を通じて二〇〇四年に結成。町特産の和紙を使った町おこしのため、〇五年に「仙覚万葉の会」としてNPO法人化し、今年四月に現在の会名に改称した。

 福島さんは自治会活動を通じて会を知り、一〇年に入会した。万葉集の魅力を「最初は読めないが、読み解いていくと意味が分かる。当時の人の考え方が分かるところが面白いですね」と語る。「天皇から読み人知らずの歌まで、当時の様子が凝縮されている。防人(さきもり)が家族を恋しく思う気持ちをみると、当時も単身赴任があったんだなあ、と」

 会員たちは、町の伝統産業の和紙への思いも強い。福島さんは「カレンダーやはがきなど、身近に使える物がないと残していけない。われわれのやっていることは微々たるものですが、和紙を生かす方策をこれからも考えていきたい」と話している。 (中里宏)

 <ふくしま・すすむ>東京都出身。大学卒業後、オーディオ機器メーカーに就職し、レーザーディスク盤の材料や量産化技術開発などを担当。現在、母校で就職相談員を務める。「第4回紫草と万葉の花展」は小川町の埼玉伝統工芸会館で25日〜6月2日(27日休館)。問い合わせは、会の事務局=電080(9532)0015=へ。

和とじの冊子「万葉花手帖(てちょう)」を手作りする会員たち

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