東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 埼玉 > 記事一覧 > 6月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【埼玉】

<ひと物語>北本トマトカレー栄冠 農業・加藤浩さん

「皆さんに喜んでもらえるトマトを作り続けたい」と話す加藤さん=いずれも北本市で

写真

 北本市内のビニールハウスで次々と収穫されるトマト。七月上旬までのシーズン中、畑の近くの直売所には市内外から多くの人が訪れ、開店前から列ができる人気ぶりだ。北本トマトはすっかり地元ブランドとして定着した感がある。トマト農家の加藤浩さん(50)は「皆さんに喜んでもらえる味を作り続けていきたい」と目を細める。

 人気の背景には、加藤さんが考案した地元名物グルメ「北本トマトカレー」の快進撃がある。カレーは五月、神奈川県横須賀市で開かれた「全国ご当地カレーグランプリ」で五年ぶり二度目の優勝を果たした。優勝二回は史上初。二〇一四年十月に販売を開始したレトルトパックは、今では年に七万五千個も売れる人気商品。「カレー好きの人たちに味を認められた証拠」と胸を張る。

 トマトカレー開発のきっかけは一一年に開かれた「埼玉B級ご当地グルメ王決定戦」だった。市制四十周年を記念して北本市で開かれることになり、優勝を期待されたが、当時は名物がなかった。トマトギョーザ、そばコロッケ、焼きそば、焼きうどんなど次々と提案されたが、なかなかしっくりくるものがない。

 「総菜的なものより主食をと考えたが、そばやうどんはアイデアが出尽くしていた」と加藤さん。そんな時、子どもの頃に母が四、五日に一回はスープやミートソースなどトマトを使った料理を作っていたのを思い出し、その中にカレーもあった。「子どもも好きだし、野菜嫌いの子どもに食べさせたい母親にも喜んでもらえるとカレーで落ち着いた」

 B級ご当地グルメ王は思惑通り優勝。しかし、「地元だから」との陰口も聞こえてきた。実際に翌年の草加市の大会では下位に甘んじた。「私もね。正直、この時のカレーはおいしいとは思ってなかった」と笑う。「だけど、かえって本気になった。よーし、みんながおいしいと認めるものを作ろうってね」

 カレーの全国ナンバーワンを目指した努力が始まった。子どもを意識し過ぎたことを反省し、スパイスを効かせたり、肉の細切れを入れたり。ミニトマトを配するなど見た目の美しさにもこだわった。

 カレーグランプリでは一三年に準優勝、翌一四年に念願のグランプリに輝いた。料理を手伝ってくれる地元の主婦たちと結成した「KABAちゃんず」(加藤とばあちゃんの意味)で栄冠を喜んだ。

 「努力が報われた」と加藤さん。「まだまだトマトを作り続けますよ」 (渡部穣)

<かとう・ひろし> 北本市生まれ。東京農業大大学院で修士号を取得後、北本で代々続く実家の農業を継いだ。トマトのほか、キュウリ、ナス、ネギなど約25種類の野菜と米を作る。1男2女の父。休みが取れずに家族旅行をほとんどしたことがないなど悩みもあるが、「想定通りに作物が育ったときの喜びは何物にも替え難い」。

北本トマトカレーの調理を担当した「KABAちゃんず」のメンバー

写真
 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報