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【埼玉】

知事選 現場からの声(上)外国人との共生 川口・芝園団地自治会事務局長 岡崎広樹さん(38)

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 川口市の芝園団地は、住民約五千人の半数以上を外国人が占める。自治会事務局長の岡崎広樹さん(38)は共生のため、地道な活動を続けている。

 −団地の現状は。

 「共生」は「互いに協力する関係」、「共存」は「互いに静かに暮らせる関係」と定義している。それで言うと、共存には近づいてきた。芝園団地の外国人は一九九〇年代から増え始め、多くが中国人。生活習慣の違いで、ごみや騒音のトラブルが相次いだ。今でも自治会に苦情は来るが、団地事務所への通訳の配置や、生活マナーを中国語で伝える冊子の配布などで、以前よりトラブルは減った。

 −共生には至っていないか。

 まずは共存という土台を築き、共生に向けて試行錯誤している段階だ。現代は人の移動が多く、見知らぬ隣人が増えやすい社会。日本人同士でも共生していない中に、外国人が入ってきている。芝園団地では高齢化する日本人に対し、中国人は若い子育て世帯という世代の違いもあり、共通項がほとんどない。でも、接点すらなければ、先に進みようがない。

 −そのために交流の場をつくっていると。

 五年前に団地に住み始め、まず企画したのが防災の講習会。当初は誰も来ないと言われたが、参加した七十人の二割が外国人だった。「にぎわいフェスタ」という交流イベントも開催し、外国人にブースを出してもらった。彼らと顔見知りになってお願いすれば、いろいろ動いてくれる。イベントを手伝った学生がボランティア団体「芝園かけはしプロジェクト」を立ち上げ、二〇一六年から「多文化交流クラブ」を毎月開いている。

 −交流の難しさは。

 クラブを二年半続け、延べ九百人が来てくれたが、参加する日本人は固定化し、外国人は引っ越してすぐに入れ替わってしまう。ただ単に静かに暮らしたいという住民が一定数いるのも事実だ。無関心な人たちへのアプローチには限界があり、かつての時代のような地縁に基づく集団型のコミュニティーではなく、個人同士のつながりをネットワーク的に広げていく共生のあり方を考える必要があると感じる。

 −行政が果たす役割は何か。

 ひとくくりに外国人と言っても国籍も収入も在留資格も違い、地域社会の構成をよく見るべきだ。住民だけでは解決できない問題もあり、芝園かけはしプロジェクトのような第三者の存在が重要になる。外国人と日本人をつなぐコーディネーターの配置に市町村は取り組み、県にはその人材を育てる後押しをしてほしい。互いの関係性を理解するための研修など、現場に近いところへの支援を期待したい。入管難民法の改正で、外国人の増加は自明の理。この団地の経験を踏まえ、問題が顕在化する前に対応できることはたくさんあると思う。 (聞き手・近藤統義)

 ◇ 

 十六年ぶりの新リーダーを決める知事選の投開票が二十五日に迫った。増加する外国人労働者との共生や高齢者の孤立、子どもの貧困といった課題が山積する県内。今後の県政や地域社会は、どうあるべきか。現場で活動を続ける関係者に聞いた。

<おかざき・ひろき> 1981年、上尾市生まれ。大学卒業後、三井物産に入社し、外国人との共生に関心を持つ。2012年に退社し、松下政経塾で学ぶ。14年に川口市の芝園団地に移り住み、17年から自治会事務局長。自治会は18年、多文化共生に貢献したとして国際交流基金の表彰を受けた。

 

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