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【埼玉】

知事選 現場からの声(中)進む高齢化 NPOきらりびとみやしろ・島村孝一理事長(70)

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 人口増が続き、高齢化率も全国平均より低く「若い県」と言われてきた埼玉も、間もなく人口が減少に転じる。高齢化も全国トップのスピードで進む見込みで、対策は急務だ。宮代町の認定NPO法人きらりびとみやしろは、会員が家事などを助け合う活動を約二十年前から実施。島村孝一理事長(70)は「困った時はお互いさま」が合言葉だと話す。

 −団体を立ち上げた背景は。

 二十年ほど前、町の事業として、あるヘルパー(訪問介護員)が具合の悪い高齢女性のため、夕食を作りに訪問した。女性の食事は作れたが、制度上、一緒に住む息子の分は作れなかった。同行していた町職員の故井上恵美さんが一九九八年に「公的サービスには限界がある」と考えて前身の「ハートフルみやしろ」を設立したのが始まり。昔は何かあれば、隣近所で助け合ったものだが、それもなくなってしまったから。

 −助け合い事業の仕組みは。

 二十代〜百歳代の約六百四十人の会員がいて、十五分間で二百円のチケットを介し、それぞれお願い事をしたり、応じたりし合う。お願い事は掃除や大きな物を動かす片付け、庭の草取りなど、家事援助が多い。「話し相手になって」「車でパチンコ屋に連れて行って」とかもある。一時預かり保育もやっていて、今は若い人がお願いする側になることが多いが、そのうち助ける側に回ってもらえたら。助ける側は定年を迎えた人がメインだが、いずれはさらに年を取ってお世話になる側に回る。それが「お互いさま」だ。

 −今後、高齢化が加速していく。県内には、高齢者のちょっとした困り事を地域のボランティアが手伝い、お礼に地域商品券などをもらう、NPOや自治会などによる支え合いの仕組みが全市町村にあるが、さらに必要なことは。

 今の地域社会では、助ける側になると手を挙げる人が圧倒的に少ない。最近の日本は「他人のためには動かなくて良いんじゃないのか」という気持ちが蔓延(まんえん)しているような気がしてならない。高齢化が進んで介護保険会計の破綻が懸念される中、国は地域で支え合う「共助」を進めるようになった。その仕組み自体は既に全県にあるが、どこまで活用されているのか。支え合いの動きをもっと活性化させていけば、高齢社会を乗り切ることに近づくだろう。

 −新しい知事には、どのような政策を望むか。

 二〇二五年には団塊の世代が後期高齢者となる。患者が自宅で療養できるようにしないと、病院もパンクしてしまう。介護人材も医者も足りておらず、介護と医療の連携は大きな課題だ。特に一人暮らしのお年寄りは地域でも孤立しがちで、交流サロンの利用を促すなど地域の輪に入ってもらった方が良い。行政は責任を持ち、包括的な支援の仕組みをつくってほしい。地域で暮らす人が、どう幸せに生活していけるかといった視点から街づくり、県づくりをすれば「埼玉って良い県だよね。住みたいね」となると思う。(聞き手・飯田樹与)

    ◇

<しまむら・こういち> 1949年、宮代町生まれ。67年に同町の職員となり、総務課長や収入役を歴任。2013年に認定NPO法人きらりびとみやしろの理事長に就任した。同NPOは、助け合い事業のほか、グループホーム、一時保育ルーム、交流サロンなどを運営している。

 

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