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【埼玉】

<各駅停車>増える子ども食堂

 全国の子ども食堂は少なくとも三千七百カ所を超え、その急増ぶりには目を見張るものがある。

 埼玉県でも二月までに百七十三カ所が確認され、半年間で一・四倍に増えていた。小学校五校にほぼ一カ所の計算になる。目下、県で最新データを集計中だが、驚きの結果が飛び出すに違いない。

 川口市を足場に、新たな子ども食堂を立ち上げようと奮闘するボランティアチームがある。高校や大学、専門学校の学生たちが中心になって動いている。食堂事情に詳しい東洋大学の関屋光泰助教らの公開講座に集った面々だ。

 取り組みに共感した地元の「さいわい診療所」がさしあたり二十一日の昼間、台所を備えたスペースを貸し出してくれる運びに。チームは初めて食堂を開き、カレーライスの提供などに挑戦する。子どもに限らず、全ての人たちに開かれた居場所を目指して「みんなの食堂Flat(ふらっと)」と命名した。

 食材の調達や調理の段取り、衛生管理、人手の確保、資金繰り…。本番目前ながら、不慣れな課題が山積している。開催経験の豊富なボランティアらの助言の下、日々の学業や仕事の合間を縫って準備に大わらわだ。

 「地域再生のため」「子どもの貧困対策として」「人生の糧に」…。食堂開設に携わる目的は十人十色だ。共通するのは、他人へのてんてこ舞いの献身に喜びを見いだしていることだろう。

 日本では一九八〇年代から一貫して、物より心の豊かさを求める人たちが多数派だ。その望みを満たしてくれるからこそ、子ども食堂は急増しているのかもしれない。「他人を幸福にすることは、やはり最も確かな幸福である」。十九世紀のスイスの哲学者アミエルの言葉が新鮮に響く。 (大西隆)

 

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