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【埼玉】

<「ラグビータウン熊谷」へ 未来につなぐ市民活動>(上) 競技の魅力発信 熱気を遺産へ

タグラグビーで審判を務める新井さん(後方(右))。企業研修の会社を設立し、ラグビーの魅力発信に努めている=行田市で

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 合言葉は「スクマム」。ラグビーのスクラムとクマガヤ(熊谷)を掛け合わせた造語だ。考案者は、今回のW杯のキャッチコピー「4年に一度じゃない。一生に一度だ」を創ったコピーライター吉谷(よしたに)吾郎さん。二匹のシロクマが肩を組むシンボルマークは、国内外で活躍するアートディレクター窪田新(あらた)さんが手掛けた。合言葉やマークに込められた意味のように、W杯の熱気を一過性に終わらせず、遺産(レガシー)として残そうとスクラムを組んで突き進む市民たちの姿を追った。 (この連載は渡部穣が担当します)

 「タグ!」

 ラグビーボールを持って進む相手の腰から取ったリボンを掲げ、宣言する。審判がこれを認めると、ボールを放さないといけない。

 今夏、行田市内の体育館で、熊谷市の店舗設計・施工会社が社内研修としてタグラグビーを体験した。タックルやキックがなく、腰の面ファスナーに付けたリボンを奪うルール。誰でも気軽に楽しめ、ラグビー同様、チームワークが重要だ。

 審判を務めたのは、学生時代にラグビーに魅了されたという同市の新井孝一さん(43)。20日に開幕するワールドカップ(W杯)日本大会の会場の一つに熊谷ラグビー場が選ばれたことから、競技の普及を願って2016年にタグラグビーを取り入れた企業研修を提供する会社を設立した。

 ラグビーを「1人では絶対に成果を出せない。サポートで仲間を感じることができるスポーツ」と語り、その魅力の発信に努める。

南アフリカ国歌を熱唱する臼杵団長(左)ら熊谷ラグビー合唱団のメンバー=熊谷市で

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 市内でベーグル店を営む臼杵健(うすきたけし)さん(43)もPRに取り組む1人だ。W杯を機に今年4月に開局したコミュニティーラジオ「FMクマガヤ」のパーソナリティーとして、さまざまな番組内でルールの説明や見どころを語る。

 「実はラグビーのことは何も知らなかった」と笑う臼杵さん。熊谷で試合をする国々をそれぞれの国歌でもてなそうと「熊谷ラグビー合唱団」を立ち上げるなど活動は幅広い。合唱団の歌唱指導は、合唱経験のあるソフトエンジニアの沼上泰彦さん(51)と市内のゴスペルサークルの高田恵さん(49)が買って出てくれた。

 今月6日に熊谷で行われた日本対南アフリカのW杯壮行試合を前に、合唱団は南ア国歌の練習会を実施。400人以上の市民が集まった。

 南アではかつて、白人が代表選手の大半を占めるラグビーは人種分断の象徴だった。しかし、1995年のW杯で優勝した際、その喜びを人種を問わずに分かち合えたことから融合の象徴へと変化。この過程を描いた映画「インビクタス/負けざる者たち」(クリント・イーストウッド監督)で、スポーツを通して人種の融和を図ろうとラグビーに傾注する当時のネルソン・マンデラ大統領が、苦言を呈する側近に放ったせりふが印象的だ。

 「この国は誇りに飢えている」

 W杯開催地としての誇りを求め、熊谷でも人がつながり、競技の魅力を発信している。市役所近くのファンゾーンで行われるパブリック・ビューイング会場で、世界の融合をうたったW杯のテーマ曲「ワールド・イン・ユニオン」を熱唱する予定だ。

大きく張り出されたスクマムのシンボルマーク=JR熊谷駅で

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