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【埼玉】

草加市が皮革職人塾 今月末まで連続講座 会社員ら15人、プロの技術学ぶ

なめした革を手に工程を説明する伊藤さん(右)=草加市の伊藤産業で

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 国内有数の皮革の産地である草加市が、業界の活性化を目指して新たな担い手の育成を始めた。「草加皮革(かわ)職人塾」と題した初の連続講座を十月末まで実施。地場産業として生き残りをかける事業者の期待も高く、起業や独立を希望する十五人がプロの職人たちから技術を教わっている。 (近藤統義)

 「かつては三十人いた従業員も、今や十一人。厳しい時代に入っている」

 九月末にあった加工現場の見学会。黒やオレンジ色に染められたカンガルーやシカの革が並ぶ「伊藤産業」の工場で、伊藤達雄社長(66)が受講者に訴えた。

 同社は「タンナー」と呼ばれる、創業六十七年のなめし業者。外さなくてもスマートフォンの画面を操作できる手袋用の革など、時代に合わせた商品開発に取り組んでいる。受講者はなめしや染色、艶出しなどの工程を順に見て回った。

 市などによると、草加で皮革産業が起こったのは一九三五年。豊富な地下水と土地代の安さから、東京の職人たちが続々と移ってきた。皮革問屋が集まる浅草にも近い好立地で、ピークの六〇〜七〇年代には市内に八十ほどの事業者があったという。

 だが、宅地化が進み、工場の排水や臭いが問題視されるようになった。海外からは安い革製品も流入。現在でも東京、姫路(兵庫県)、和歌山と並ぶ四大産地とされるが、事業者は約三十に減った。家族経営も多く、後継者不足が課題になっている。

 一方、素材を作るタンナーだけでなく、バッグや靴などの最終製品を手掛ける業者も集積するのが草加の特長。見学会後の受講者との意見交換で、職人たちは「業者同士のつながりがあり、助けてくれる」とメリットを紹介した。

 講座では技術の習得のほか、ブランディングや販路開拓、起業への準備なども学び、来年一月に成果発表会を開く。受講する同市の会社員浅井友秋さん(42)は「自分が作った革小物を売り出せたら」と夢見る。

 市は職人塾を来年度以降も続ける予定で、草加商工会議所も工房の整備を市に働きかけている。地場産業の継承に向け、伊藤さんは「新たな人材が集まり、革の街として全国に発信していけたら」と話す。

 

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