東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 埼玉 > 記事一覧 > 11月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【埼玉】

<ひと物語>「四つ葉」で人とつながり 幸せのクローバー会会長・鈴木一男さん

「クローバーを通じて人とのつながりができた」と話す鈴木さん

写真

 誰もが一度は探した経験があるだろう四つ葉のクローバー。「幸せのクローバー会」会長を名乗る加須市の保険代理業鈴木一男さん(66)は十年前から、四枚以上の葉を持つクローバーの栽培に取り組む。今のところ、会員は自分一人だが、同志を増やし、活動の幅を広げることも検討している。

 「四つ葉が生まれる可能性は一万分の一、五つ葉は百万分の一と言われています」と鈴木さん。珍しい四つ葉や五つ葉、それ以上の葉のクローバーが自宅の庭で茂っている。のぞき込むと、探さなくてもすぐに見つけられる。「皆さん、大量にあるので驚かれます」とほほ笑む。

 栽培だけでなく、育てたクローバーを押し葉にしてメッセージを添えたカードにし、高齢者施設にプレゼントしている。各地の公民館や小学校では、カード作りの体験会も開く。「父の日」や「母の日」に合わせて子どもが「ありがとう」と書いたり、高齢者が支援者への日ごろのお礼を添えたりする。一見、地味な葉なのに、贈る側の気持ちがよりいっそう伝わり、受け取る人の心を打つ。

 鈴木さんがクローバーを栽培するようになったのは、老後の孤独への漠然とした不安からだった。埼玉銀行(現・埼玉りそな銀行)に入行したが、二〇〇二年に早期退職の募集があり退行した。経験を生かして始めた保険代理業が軌道に乗りかけた五十代半ば、ふと仕事以外のつながりがないことが気になった。銀行マン時代から年賀状は二百枚もやりとりしていたが、実際に会う人はほとんどいない。趣味もなく、地域での触れ合いもない。「将来、独りぼっちになるかも」と心配になった。

 趣味を探す中、新聞記事で五十六の葉を持つクローバーを育てた人がいると知り、興味を持った。インターネットで育て方を調べ、道端などで四つ葉を見つけると、抜いて庭に移植した。クローバーは冬を越す多年草。鈴木さんによると、暑さが最大の「敵」で毎年、夏を越せるかどうかが課題だ。それ以外は「もともと草なので生きる力は強い」。水も毎日あげる必要はない。三つ葉を根気よく摘むと、四つ葉以上が毎年、自然に交配し、少しずつ増えていったという。

 一五年に葉が九枚のクローバーが生まれ、市の広報紙に掲載されると、地元の話題となった。栽培についての講演やカード作りの体験会など県外からも誘いがかかる。口下手だと自己評価するが、「クローバーを介せば話ができる。いろいろな人とのつながりをつくってくれています」と、「幸せの」四つ葉に感謝している。

  (寺本康弘)

<すずき・かずお> 加須市出身。羽生実業高卒業後、埼玉銀行(現・埼玉りそな銀行)に入行。2002年に退行し、損害保険業のかたわら、09年からクローバーを栽培。16年に「幸せのクローバー会」を設立し、四つ葉のカードを作る教室を各地で開くなど活動している。問い合わせは、鈴木さん=電090(1994)6394=へ。

鈴木さんが栽培するクローバー。四つ葉が多い=いずれも加須市で

写真
 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報