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【埼玉】

<各駅停車>慈しみ育てる

 恥ずかしながら、越谷に暮らすまでクワイを知らなかった。県東部は全国有数の産地らしい。草加市内で栽培する駒崎昌紀さん(78)に分けてもらった素揚げは、イモのようなホクホク感。ビールのあてにうってつけだった。

 天皇陛下の即位を祝って十月に開かれた祝宴「饗宴(きょうえん)の儀」で出された料理の食材に採用され、献上の依頼を受けたのが駒崎さん。直径五センチの大きなサイズを求められたが、旬はこれから。田んぼの水温調整を工夫して成長を早め、納期に間に合わせた。

 「まだ熟していないものが交ざっている」と、追加の注文にも応えてみせた。「何としても作る」との思いで、必死に難題と向き合ったという。江戸時代から続く農家の意地と誇りを見た。

 クワイは漢字で「慈姑」と書く。球茎が増えていく姿が、子を慈しみ育てる母親を想像させるからとの説だ。案内してもらった収穫前の田んぼでは、青々と葉が揺れていた。それを見つめる駒崎さんのまなざしが優しかった。 (近藤統義)

 

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