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【埼玉】

職質伝授 効果じわり パトや交番勤務 摘発の犯罪25%

「迷いがあれば声を掛けて」と若手に指導する関根警部補(右)=さいたま市で

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 警察官が周囲の状況から犯罪の可能性があると判断した際などに、摘発や防犯のために行う「職務質問(職質)」。県警によると、2018年に警察署のパトカーや交番勤務の警察官が摘発した約1万2000件の犯罪のうち、25%が職質によるものだった。県警は、06年に専従の技能指導官による指導制度を導入。若手に技能を伝授してきた成果が出つつある、としている。 (森雅貴)

 一六年から技能指導官を務める、地域総務課の関根育広警部補(45)はこれまで、職質を機に薬物や銃刀法違反事件など約五十件を摘発してきた。現在は「若手と共に犯罪の芽を摘みたい」と、県内の各署を回って指導に熱を入れる。

 「『あれっ?』って思った瞬間があった」

 一六年十一月の深夜、若手巡査とさいたま市内のディスカウント店の駐車場を巡回中、駐車しているのに前照灯をつけたままの車を発見。近づくと、運転席の男が目をそらした。「きっと何かある」と感じ、声を掛けた。

 男は真面目な様子で、手の震えや酒の臭いもしなかったが、呂律(ろれつ)が回らないことを不審に思った。了解を得て車内を確認すると、ビニール袋に入った植物片があった。問い詰めると「大麻です。仕事でイライラしていた」と認めたため、その場で薬物検査を行った結果、大麻取締法違反(所持)の疑いで現行犯逮捕した。関根警部補は「薬物の影響による事件や事故が相次いでいる。未然に防げて良かった」と振り返る。

 職質は、警察官職務執行法で「犯罪の予防、犯罪捜査のため」などに認められているが、任意が原則で強制力はない。対象者の怒りを買ったり、警戒されて応じてもらえない場合もある。適切な実施には「所属と名前を笑顔で名乗り、声を掛けた理由を丁寧に説明し、相手の不安を解消することが大切だ」と関根警部補。

 後輩に強調しているのは「何か気になるな」と感じたら、躊躇(ちゅうちょ)なく声を掛けること。警察官の姿を見て視線をそらす、慌てて路地に入るなど、不自然な様子に注目することも重要だ。ただ、若手は「どうやって声を掛けたらいいのか」「声掛けのタイミングがつかみにくい」などと、ためらう場面が多いのが課題だという。「一瞬の迷いがあれば、気になった人はどこかに消えてしまう」

 県警の職質の技能指導官は七人。初期のベテランの多くが引退し、現在は三十〜四十代が中心だ。地域総務課の幹部は「若手が自信を持って職質して一件でも多くの犯罪を摘発し、県民の安全を守れるよう指導を徹底していきたい」と話している。

 

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