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【埼玉】

高齢運転者の事故防止求め署名提出 遺族「制度改正に期待」

内閣府の担当者に署名を手渡す稲垣さん(左)と舟木さん(中)=東京都千代田区で

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 十八日に運転免許の更新制度改正などを求める約四万七千五百人分の署名を国に提出した、さいたま市の稲垣智恵美さん(50)。「ダンスが大好きで、笑顔の絶えない元気な子だった。生きていたら二十歳。どんなふうに成長していただろう」。高齢運転者の車にはねられて死亡した娘の聖菜さん=当時(15)=を思い、涙ながらに事故防止を訴えた。 (森雅貴)

 十六歳の誕生日があと二日に迫った二〇一五年十二月二十三日。高校一年だった聖菜さんは大好きなロックバンドのライブに行くため、JR浦和駅に歩いて向かう途中、車にはねられた。家族を駅まで送っていた男性=当時(80)=が、アクセルとハンドル操作を誤ったための事故だった。

 男性は体調が悪かったわけでもなく、裁判では「どうしてアクセルを踏み間違えたのか分からない」と述べた。定年後も、毎日のように運転していたという。

 智恵美さんは「聖菜を守れなかった」とふさぎ込む日々。支えてくれたのは、聖菜さんの友人らだった。

 事故の三日後には、中学時代の同級生だった舟木優斗(ゆうと)さん(19)が「突然命が奪われる。これほど理不尽なことはない。二度とこんな事故があってはいけない」と、インターネットで高齢運転者による事故防止のための制度改正を訴える署名活動を開始。智恵美さんもブログで活動を紹介するようになった。

 高校で聖菜さんと同じダンス部だった高野さくらさん(19)も署名活動に協力。昨年四月に東京・池袋で暴走した車に母子がはねられた死亡事故を例に「運転していた高齢者の足が震えていて衝撃だった。あのような人が運転していることは社会に責任がある。制度改正に期待したい」と話す。

 智恵美さんは「高齢者みんなが事故を起こすわけではない。地方では買い物や通院などで車が手放せない状況もある」と理解しつつも、「『自分は大丈夫だ』と過信している時に事故が起きている」と強調。高齢者の免許更新期間を短縮したり、更新時の模擬運転テストの導入、タクシー利用補助や循環バス増便など免許返納後の交通手段の充実を求めている。

 署名の提出で決意を新たにした智恵美さん。「今日も娘と一緒にここに来ているつもりだった。提出は第一歩。これからも活動を続けていく」

稲垣聖菜さん(稲垣智恵美さん提供)

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