東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 埼玉 > 記事一覧 > 2月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【埼玉】

川越、江戸中期の町屋建築 取り壊しへ 城下町の姿 惜しむ声

近く取り壊される江戸中期の町屋。「城下町時代の貴重な建物」と惜しむ声も=いずれも川越市で

写真

 川越市喜多町で江戸時代中期に建てられた町屋建築の空き家が近く取り壊されることになり、市教育委員会は十五、十六の両日、記録保存のための詳細調査を実施した。部材などの保存は行わないという。同市中心部では昨年、江戸の芝居小屋の様式を持つ「旧鶴川座」(明治時代築)が解体されており、文化財建築に詳しい建築家らから「旧鶴川座に続いて川越の貴重な建物が失われるのは残念。せめて部材を保存してほしかった」と惜しむ声が上がっている。 (中里宏)

 町屋は「蔵造りの町並み」の札の辻交差点から北に二百メートルの通り沿いにあり、中二階のある店舗部分と平屋の居住部分がある。屋根に張られたトタン板の下には本来の杉皮ぶき屋根が残っている。

 市教委の資料によると、元所有者の家系は江戸時代に喜多町の名主を代々務め、江戸時代はみそ・こうじ、明治時代以降は米穀問屋を営んでいた。川越は一八九三(明治二十六)年の大火で城下町の大半が焼失し、蔵造りの町並みに生まれ変わったが、この町屋付近は被災しなかった。このため、城下町時代の商家の姿を今に伝える貴重な建築物となっており、市立博物館には江戸時代の姿を復元した模型が展示されている。

 この町屋を調べたことがある建築史家は「一七二六年の大火の後に再建したという話が元所有者に代々伝わっている。川越は江戸の影響が強い町で、同時期の江戸の町屋を類推できる点でも貴重な建物」と話す。

 市教委は文化財に指定しようと昨年、建物を調査し、市文化財保護審議会に諮ったが、現所有者の同意が得られずに断念した経緯がある。日本建築学会関東支部は「明治の大火を免れ、江戸時代の上層商家の姿を伝える川越で最古級の町屋」として、昨年十二月、町屋の保存活用に関する要望書を市に提出していた。

 市教委は町屋が近く取り壊されるとの情報を得て、資料として保存するために今回、詳細な調査を行ったという。

 全国町並み保存連盟代表理事の福川裕一・千葉大名誉教授は「川越市は蔵造りの町並みの外側であっても、旧城下町や門前町全体が歴史的都市であると考えて町づくりをしてほしい。町屋の解体は大変大きな損失だと思う」と話している。

取り壊される町屋を江戸時代の姿に復元した模型

写真
 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報