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【静岡】

てんかん発作の前兆解明 国立遺伝研とノルウェー科学技術大

研究の意義を語る川上浩一教授=三島市の国立遺伝学研究所で

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 国立遺伝学研究所(三島市谷田)の発生遺伝学研究室とノルウェー科学技術大などの共同研究グループは、魚を使った実験により、意識障害や全身けいれんを引き起こす「全般てんかん」の発作前に、神経の働きを補助する「グリア細胞」のネットワークが異常な活動を見せることを突き止めた、と発表した。同研究室の川上浩一教授(59)は「まだ基礎研究の段階だが、グリア細胞の活動を対象にした新たな治療薬の開発が期待できる」と意義を語る。(杉原雄介)

 研究は五年ほどかけて実施。約七割の遺伝子が人間と共通で、脊椎(せきつい)動物のモデルとなる「ゼブラフィッシュ」を使って人為的に全般てんかん発作を起こし、脳内に多数存在する神経細胞とグリア細胞の活動を可視化した。

 その結果、普段はバラバラに活動しているグリア細胞が、発作前には一斉に活動することが判明。同細胞が脳内全体の神経細胞に作用し、異常な興奮を引き起こすことで発作につながるという。

 これまでの先行研究でも、グリア細胞がてんかん発作に関わっていることは示唆されていた。川上教授によると今回の研究では、発作前のグリア細胞ネットワークを具体的に可視化し、明らかにできたことが新たな成果だという。

 日本てんかん協会(東京)によると、てんかんは脳の一部で発作が起こる「部分てんかん」と全般てんかんに大別される。脳の障害や傷が原因で起こることもあるが、脳に異常が見つからず原因不明のケースも多い。

 国内の患者は推定百万人で、約八割は十八歳までに発症するとみられる。現在はてんかんの七〜八割が、薬や外科治療で発作を抑えられるという。

<グリア細胞> 神経細胞の周囲に存在し、神経細胞が消費するエネルギーの貯蔵などを担う。脳内のグリア細胞は運動や睡眠、記憶形成など多様な脳機能に関わっている。

全般てんかんの発作を起こしたゼブラフィッシュの脳内。紫の部分が神経細胞で、緑の部分がグリア細胞(ノルウェー科学技術大提供)

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