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【静岡】

リニア認可から5年 27年開業に「黄信号」 JR東海と県「静岡工区」で調整難航

 JR東海のリニア中央新幹線の建設計画が、国の工事認可を受けてから丸5年が過ぎた。しかし静岡工区(8.9キロ)を巡って県との調整にめどが立たないなど、2027年の東京・品川−名古屋間開業に「黄信号」がともっている。(広田和也、小西数紀、榊原智康)

 「南アルプスの水は、命の水。決して譲ることはできない」

 川勝平太知事は今月十一日の会見で、最大争点である大井川の流量減少問題に触れ、リニア着工に同意できない姿勢を強調した。

 リニアの最難関工区、南アルプストンネルは県北端を通る。県を縦断する大井川の水源地帯に当たる。JR東海は一五年十二月、山梨側から着工した。

 同社は、工事によりトンネル内で水が湧き出て流出し、大井川の流量が毎秒二トン減ると試算。ポンプアップや導水路を駆使して「流出した全量を戻す」と約束した。

 だが今年八〜十月に行った県とJR東海の集中協議で、水は最長十カ月間、技術的に戻せない課題が浮上した。同社は、湧水の流出が川や地下水の流量にもたらす影響は大きくないと主張、「まず着工を」と呼び掛けるが、県は「一滴たりとも失うことは許されない」「水が減っては取り返しがつかない」と譲らない。

 両者の間には、残土処分や生物多様性の保全など手つかずの問題も山積する。県が着工同意の前提と位置付ける基本協定締結のめどは立っていない。

 一方、JR名古屋駅周辺ではリニア開業に歩調を合わせた大規模な再開発計画が進行する。中でも名古屋鉄道などが進める再開発は、名鉄百貨店を含む計六棟あるビルを解体し、南北の総延長四百メートルの新ビルを建設する大プロジェクトになる。

 JR東海幹部は「うちだけじゃなくて、よそも二七年を目指してやっている。だから早く(静岡工区を)着工しないといけない」と焦りを募らせる。

 こうした事態を受け二十四日、国土交通省の藤田耕三事務次官が、県庁で川勝知事と面談した。藤田次官は「計画を認可した立場として、二七年のリニア開業を目指す」との基本姿勢を伝えた。

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