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【静岡】

「文晁の富士山」一堂に 県遺産センター きょうから江戸画展

谷文晁が描いた「富士山図」(いずれも県富士山世界遺産センター提供)

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 県富士山世界遺産センター(富士宮市)は七日から、江戸時代の人気絵師・谷文晁(たにぶんちょう)(一七六三〜一八四一年)が描いた富士山を特集した企画展「谷文晁×富士山」を始める。「山といえば富士山」という時期に「写山楼」を号し、富士山絵画の第一人者を自任した文晁。富士山ばかり二十一点を集めた展覧会は「明治以降は初めて」(同センター)という。(前田朋子)

屏風絵などの大型作品も楽しめる展覧会。中央は松島仁教授=同センターで

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 センターの松島仁教授によると、文晁は十九世紀前半の江戸画壇では、葛飾北斎を上回る人気を集めた時代の寵児(ちょうじ)。活動は絵だけにとどまらず、「文晁」ブランドの酒が売られ、当時のグルメ本にも登場。「酒合戦」という大酒飲みコンテストを主催し、審査員を務めるなど文化面でも「大スター」だった。

 展覧会は二部構成。一部では文晁が若いころから手掛けた富士山絵画の変遷を展示。今年に入りセンターが収蔵した「富士山図」(一八〇一年)は、山肌をあらわにした夏の富士山を描いている。頂をギザギザにし、画面右には宝永火口を描き入れるなど実景に即し青、茶、墨色を幾重にも重ねたパステル調が印象的だ。後年の研究で、山頂の霊水をすずりに入れて描いた可能性も指摘されている。

 二部では、センター所蔵の三十四図からなる巻子(かんす)(巻物)「富士山中真景全図」(一七九五年)の成立過程を考察。富士川を出発し、須山口(現裾野市)を経て富士登山し、小田原に至る道中を描く幅十二メートルの大作だ。下野国(現栃木県)の神職・小泉檀山(一七七〇〜一八五四年)の作「富岳真状」が下敷きになっているのではないかとみられている。

 「富士山中真景全図」は冒頭に時の将軍徳川家斉の賛辞がつけられており、松島教授は「文晁が単に剽窃(ひょうせつ)したのではなく、将軍に見せるという一大プロジェクトのために、小泉檀山もチームの一員として参加したのではないか」と話す。

 展示は来年二月二日まで。一月五日には谷文晁研究の第一人者で静嘉堂文庫美術館館長の河野元昭さんの記念講演会もある。観覧料は一般七百円、七十歳以上二百円、大学生以下や障害者は無料。

 休館日などの問い合わせは=電0544(21)3776=へ。

富士山中真景全図の一部=来年1月11日から展示

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