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【スポーツ】

塚原夫妻のパワハラ認めず 第三者委 体操協会、職務停止解除

 日本体操協会は10日、東京都内で臨時理事会を開き、2016年リオデジャネイロ五輪女子日本代表の宮川紗江(高須クリニック)が訴えた塚原千恵子女子強化本部長と塚原光男副会長の夫妻によるパワハラ行為は「認められなかった」とする第三者委員会の調査結果が報告され、夫妻の一時職務停止の措置を解除した。

 報告書では、宮川が訴えた塚原夫妻によるパワハラ行為について「配慮に欠けた不適切な点が多々あったとはいえ、悪性度の高い否定的な評価に値する行為であるとまでは客観的に評価できない」とした。また宮川からコーチを引き離そうとした行為についても認められないと結論づけた。

 委員会からは協会に対して、強化本部の透明化と活性化▽強化本部長の職務と権限の明確化▽国際大会への派遣選手の選考過程の透明化−などを提言。協会ではこの提言を検討する委員会を立ち上げて、運営体制の改善を進める。また、改めて特別調査委員会を設置し、今回の騒動の問題点などを調べるという。

 理事会後に記者会見した協会の山本宜史専務理事は「このたびのパワハラ問題でお騒がせしたことをおわびする。提言事項に真摯(しんし)に対応する」などとする二木英徳会長の声明を発表し、「パワハラではないが、それに準ずるようなことがあったのは、改善していかないといけない」と述べた。

 宮川は今年8月、塚原夫妻から「五輪に出られなくなる」などとパワハラを受けたと告発。協会は第三者委員会を設置して調査を始め、塚原夫妻を一時職務停止としていた。塚原夫妻は宮川の主張の一部を否定していた。

◆「発言は不適切」なのに

 第三者委員会の報告書では、パワハラの定義について一般常識として不適切というだけでなく、違法性を帯びたり、懲戒の対象ともなったりする「悪性度の高い否定的な評価に値する程度のもの」と説明した。その上で、今回の塚原夫妻の行為がそこまでの程度ではないと結論づけた。

 一方で、「不適切な点も多々あった」としている。コーチを強く信頼する宮川に対して千恵子本部長が発した「宗教みたい」という言葉については「極めて軽率で不適切」。面談での夫妻の言動も「宮川選手にとっては『終始高圧的な態度』で『パワハラ』と感じさせてしまっても仕方がないもの」とした。

 それだけの指摘がなされたのだから、協会は委員会の結論を踏まえた上で、独自の判断をする選択肢もあったのではないか。実際に、理事会では夫妻に対する処分を求める意見も出たという。

 報告書では、協会自体の組織運営も問題視した。「宮川選手が、協会に訴えても握りつぶされると考えたことが推測される」とし、本来、選手を守るべき協会が選手に信頼されていなかった点を課題に挙げた。今後は二木会長が声明で掲げた「選手第一主義」の実現が求められる。

 協会は塚原夫妻を職務に復帰させ、「結局、パワハラはなかった」で終わらせてはならない。今回の騒動がそもそもなぜ起きたのかを丁寧に検証した上で、委員会からの提言を着実に実行することが重要となる。 (平松功嗣)

 

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