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【スポーツ】

ホンダFC、J3参入せず 夢は天皇杯V

リーグ戦最終節の試合終了後、ホームで優勝トロフィーを掲げ、3連覇を喜ぶ選手ら=浜松市北区の都田サッカー場で(ホンダFC提供)

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 J2やJ3のクラブがJ1を目指すような従来の流れとは一線を画すチームが、国内4部リーグに相当する日本フットボールリーグ(JFL)にある。ホンダFCは今季、リーグ初の3連覇を達成したが、来季もJ3に参入しない。アマチュアであることに意義を見いだす名門は確たる信念を貫く。 (唐沢裕亮)

 「切り替えを早く!」。選手たちが声を響かせる。浜松市内にあるチーム専用競技場。練習後は専属トレーナーによるマッサージで体の手入れを欠かさない。環境面ではJクラブにも引けを取らない。

 ただ、ホンダFCは上位リーグを目指さない。プロリーグ創設の1990年代、Jリーグに加盟した旧日本サッカーリーグ(JSL)のチームと同様にプロ化を検討したものの、行政の支援が得られなかったことなどで断念した。

 その後も将来的なプロ化を模索しながら活動を続ける選択肢もあったが、アマチュアとして一本気に生きる道を選んだ。挑戦者精神を持ち、独自色を大切にする。チームにはホンダ創業者の本田宗一郎の哲学が色濃く反映されている。強化担当の小林秀多(ひでかず)氏は言う。「プロを目指すのも一つの形だが、企業がサッカーチームを持つことで、プロ以上にサッカーを楽しみながら強いチームになっていく。どこもやらない『色』を出せたらいい」

 JFLで優勝8度。選手の大半が社員として同社工場で働く。今季はプロ契約2選手を含む25選手でリーグ戦30試合中25勝、うち18連勝というリーグ記録も樹立。J1のC大阪で2005年にベストイレブンに選ばれた地元浜松出身の古橋達弥(38)は、14年にプロ契約で10年ぶりに古巣復帰し「この辺の小学生にとってホンダは憧れのチームだった」と胸を張る。

 社員選手で主将の鈴木雄也(27)は13年に入団。同僚に応援してもらう感覚など、企業チームならではの良さを感じている。小林氏も「セカンドキャリアの心配もいらない」と強調する。引退後は「社業に専念」。安定した収入を得られるメリットもある。

 だが、モチベーションは高い。かつてJ1市原(現J2千葉)でプレーした井幡博康監督は「ここの選手はプロを夢見ながら(スカウトの目に)引っかからなかった悔しさがある」と代弁。「アマチュアでもここまでできると証明するために勝ち続ける」とチームの存在意義を強調する。

 ホンダFCには野心がある。プロ、アマ、学生チームなども参戦するトーナメント、天皇杯で頂点に立つことだ。07年には柏、名古屋のJ1勢を撃破し8強入りした実績がある。リーグ3連覇を自信に井幡監督が言葉に力を込めた。「そのためのチームの底上げはここ数年でできている」 

<ホンダFC> 1971年、本田技研工業のフットボールクラブとして創部。元日本代表の北沢豪氏ら多くの有望選手が在籍したが、90年代のプロ化断念で戦力が流失したことがあった。現役で主なOBは元日本代表の村松大輔(現J3北九州)ら。企業クラブながら早い時期から下部組織を整備したのも特徴。今季は第1、第2両ステージを制し完全優勝を飾った。

 

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