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【スポーツ】

伊調、残り10秒底力 川井梨に雪辱V 全日本レスリング

女子57キロ級決勝川井梨紗子(手前)を攻める伊調馨=駒沢体育館で

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 全日本選手権最終日は23日、東京・駒沢体育館で行われ、女子57キロ級は五輪4連覇の伊調馨(ALSOK)がリオデジャネイロ五輪63キロ級金メダルの川井梨紗子(ジャパンビバレッジ)に3−2で逆転勝ちし、旧階級を含めて3年ぶり13度目の優勝を果たした。川井梨は4年連続の日本一を逃した。 

 男子フリースタイル65キロ級は世界王者の乙黒拓斗(山梨学院大)が初優勝。男子グレコローマンスタイル60キロ級は昨年の世界選手権59キロ級覇者の文田健一郎(ミキハウス)がリオ五輪銀メダルの太田忍(ALSOK)を7−2で下し、59キロ級を制した2016年以来2度目の優勝を果たした。

 女子53キロ級は世界選手権55キロ級覇者の向田真優(至学館大)が昨年の同級と合わせて3連覇。同50キロ級は入江ゆき(自衛隊)が2連覇した。リオ五輪金メダルで68キロ級の土性沙羅(東新住建)は、旧階級を含めて8連覇を成し遂げた。

◆追い込まれ逆転タックル

 1点を追いかけ、試合終了まで残り18秒。組み手争いで川井梨がバランスを崩した瞬間、伊調が動いた。相手の頭を下にはたき、自らの姿を視界から消すと、素早く横に回ってタックルを決めた。

 残り10秒余り。川井梨の背後を取り、2点が入った。ぎりぎりの時間の見事な一連の逆転劇。「勝負どころの集中力はさすが」。大会前に西口強化本部長が口にした伊調への評価を思い出させる結果。伊調は「思い出せない」と試合直後に振り返った。意識して技を繰り出したわけではないという。相手の一瞬の隙に、体が自然と反応した。極限の集中力のたまものだった。

 前日の22日、1次リーグ初戦で川井梨に屈した。日本選手に敗れるのは17年ぶり。だが、34歳のベテランが落ち込むことはなかった。相手は10歳年下で世界を連覇中。「今は自分が挑戦者なので」。淡々と気持ちを切り替え、再戦の決勝で雪辱した。

 一歩リードした東京五輪の代表争い。次は来年6月、全日本選抜選手権。再び川井梨との激戦が予想されるが、故郷の青森県八戸市で競技を始めた時の恩師、沢内和興さんは「今度は大きく差が開くことになる」と展望する。

 リオ五輪当時と比べ、筋肉量の数値はまだ7割程度。下半身の力が弱いため、自然と構えの体勢も腰が高くなる。足腰を鍛え、腰を低く落とすことができれば、スピードは段違いになる。

 大きな伸びしろを残した中での栄冠。「状態を上げていく段階の中で、こういう戦いができた」。伊調自らも手応えを深めた勝利となった。 (多園尚樹)

 

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