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【スポーツ】

伊調選手、パワハラ乗り越え 「レスリングできる幸せ」

全日本選手権で優勝し、声援に応える伊調馨選手=東京都世田谷区の駒沢体育館で

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 二年後の東京五輪へ覚悟を決めた女王が、五度目の大舞台へ一歩進んだ。東京都の駒沢体育館で二十三日に行われたレスリングの全日本選手権女子57キロ級を制した伊調馨選手(34)=ALSOK=は、優勝の瞬間、何度もガッツポーズを繰り出した。 (多園尚樹)

 「いろんな複雑な気持ちがあるけど、それを上回るぐらい、素直にうれしい」

 恩師で日本レスリング協会前強化本部長の栄和人氏(58)によるパワハラ問題が発覚したのは今年二月末。その被害者として、何度も気持ちが揺れた。騒動から逃れるように、ホテルを転々とした。引退すら頭をよぎった。指導を受けてきた田南部力コーチ(43)もパワハラ被害に遭ったことで、自責の念にかられた。「レスリングをすることは自分勝手なんじゃないかって。すごく葛藤したというか、苦しかった」と明かす。

 応援する周囲の声にも押され、マットに戻ることを決意。本格的に練習を再開してから約八カ月で、復活優勝を果たした。前日の二十二日には、二〇一六年リオデジャネイロ五輪後、初めて東京五輪を目指す意向を示した。

 困難を乗り越えて、つかんだ勝利。ガッツポーズは「満足している感じがしちゃって、あまり好きじゃない」と言うが、自然と拳を突き上げていた。「自分がレスリングをやれていることの幸せを感じることができた一年だった」

 逆転勝利に沸いた会場で姉の千春さん(37)や友人が涙する姿を見て「気持ちが震えた」と、復帰の決断が間違っていなかったと確信した。もう迷いはない。

 

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