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【スポーツ】

井上拓、兄弟王者 状況見極め判定勝ち WBCバンタム級

9回、タサーナ・サラパット(右)にパンチを浴びせる井上拓真=大田区総合体育館で

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 トリプル世界戦が30日、東京・大田区総合体育館で行われ、世界ボクシング評議会(WBC)バンタム級暫定王座決定戦で同級5位の井上拓真(大橋)が同級2位のタサーナ・サラパット(タイ)に3−0で判定勝ちし、暫定王座に就いた。井上拓は13戦全勝(3KO)、25歳のタサーナは49戦48勝(33KO)1敗。

 23歳の井上拓は世界ボクシング協会(WBA)同級王者の尚弥(大橋)が兄。亀田3兄弟に次ぎ、日本2組目の兄弟世界王者となった。暫定王座は正規王座決定戦の開催が難航したことで設けられた。

 世界ボクシング機構(WBO)スーパーフェザー級王者で27歳の伊藤雅雪(伴流)は、同級1位のエフゲニー・チュプラコフ(ロシア)に7回2分11秒でTKO勝ちし、初防衛戦を飾った。伊藤は27戦25勝(13KO)1敗1分け。28歳のチュプラコフは21戦20勝(10KO)1敗。

 WBCライトフライ級王者で26歳の拳四朗(BMB)は同級7位のサウル・フアレス(メキシコ)に3−0で判定勝ちし、5度目の防衛を果たした。拳四朗は15戦全勝(8KO)、フアレスは35戦24勝(13KO)9敗2分け。

◆暫定王座 兄・尚弥追いかけ

 立ち上がりは派手に打ち合ったが、中盤からがらりと動きを変えた。がむしゃらに出る相手に押し込まれながら、井上拓は回り込んでパンチを当てる。念願の世界王座を射止めたのは、的確に状況を見極めたクレバーさだった。

 1回から手応えがあった。「相手が足にきている」とラッシュをかけたが「少し焦りすぎた」。一発を狙いすぎてパンチが当たらない。2回にはバッティングで鼻を打ちペースが乱れ「ポイントを取る闘い方に切り替えた」。以降は相手の動きを見極めながら有効打を重ねた。

 世界初挑戦は2年前のはずだった。ところが発表の直後に練習で右拳を痛めて試合は中止。悔しい負傷を、力を伸ばすきっかけに変えた。筋力トレーニングに力を入れ、MサイズだったTシャツはLサイズに。「バンタムの体になった。2年前よりはるかに自信がある」と胸を張る。

 兄の尚弥は3階級を制覇し、現在は同じバンタム級のWBA王者。10月の防衛戦は1回70秒でKO勝ちした。同じようなKOを狙う気持ちはあったが「ナオ(尚弥)以上にインパクトを残すのは難しい」と苦笑い。

 それでも、挫折を乗り越えて得たベルトは、駆け足で結果を残す派手な兄とは違う輝きを放つ。「率直に気持ちを言うと、最高です」。リングで互いにベルト姿で、笑顔で写真に納まった。

 試合後には父の真吾トレーナーから「万歳する内容じゃない」とたしなめられた。井上拓も「この内容じゃナオに並ぶことはできない」。兄に追いついたと胸を張って言うために、正規王者との対戦が予想される次戦では、内容と結果の両方を追い求める。 (海老名徳馬)

<いのうえ・たくま> 神奈川・綾瀬西高で高校総体優勝。13年12月のプロデビュー戦で後の世界王者の福原辰弥に判定勝ち。15年7月に東洋太平洋スーパーフライ級王座獲得。右ボクサー。兄は世界3階級制覇でWBAバンタム級王者の尚弥。23歳。神奈川県出身。

 

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