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【スポーツ】

<イチ流 イチロー引退>(上)徹底した準備 24時間、野球のために

 イチローを語る上で、キーワードとなるのが「準備」と「ルーティン」だ。

 普通の選手なら、練習より本番の試合を大切にし、結果にこだわる。だがイチローは「自分にとって一番大切なのことは試合前に完璧な準備をすること」。準備を尽くして臨んだ試合なら、どんな結果になっても後悔がない。

 打ち損じたとする。なぜ失敗したのかを突き詰めて次の手を打つのがイチロー流。「準備とは言い訳の材料となり得るものを排除していくこと。そのために考えられるすべてのことをこなしていく」。打率3割で一流とされる世界で、「全打席でヒットを打ちたい」と高みを目指した。

 準備をしっかりする思考は、日常のルーティンとして表れる。球場入りしてから、試合開始までの行動は、同僚から「時計代わりになる」と言われるほど同じ時間に同じことをする。グラウンドに出て行くときは、同じストライドで走りだす。右翼の守備位置に就くと、股関節と肩甲骨の筋肉をほぐす。走者が出れば、決まって右肩をぐるぐる回して送球の準備に入る。

 打席に入るまでの動きも決まっている。次打者席では四股を踏むようなストレッチをし、ゴルフスイングのような素振りを繰り返す。打席でバットを立てるポーズはすっかりおなじみとなった。

 毎日同じ動きをしていれば、変化に敏感になる。わずかな異変に気付けば、そこを重点的にケアすることで、けがを未然に防ぐことができる。

 最初のマリナーズ時代、朝昼兼用の食事に毎日、弓子夫人特製のカレーライスを食べ続けたことは有名だ。遠征先でも決まった店で食事を取る。違うものを食べることで、体調を崩したり、まずくて気分が下がったりするかもしれないといった不確定な要素を排除するためだった。試合に向けたイチローの準備は、試合後にスパイクを磨き、グラブの手入れをするところから始まる。野球のために24時間、愚直なまでに同じことを繰り返してきた。

 イチローは語っている。「小さいことを積み重ねるのが、とんでもないところへ行くただ一つの道だと思っている」−。 (牧田幸夫)

     ◇

 日米通算で前人未到の4367安打を放つなど、輝かしい軌跡を残したイチローの流儀に迫った。

 

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