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【スポーツ】

貴景勝、大関昇進へ 「突き押し一本、さらに上を」

貴景勝(左)は栃ノ心を押し出しで破る

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◇大相撲春場所<千秋楽>

 事実上の大関入れ替え戦を制した貴景勝は、興奮した心を静めるように何度も頬を膨らまし大きく息を吐いた。「ほっとした。熱くなったというか、肩の力、全身の力が抜けた。最後の最後だけは勝てて良かった」とうなずいた。

 立ち合いで勝負はあった。頭から当たって両手で力いっぱい栃ノ心を押し込んだ。すると簡単に長身の相手の腰を浮かせた。間髪入れずに懐に入り再び両手で二の矢を放つ。まわしには触れさせもせず押し出した。昇進へは勝つしかなかった一番で大関に完勝。審判部を納得させた。

 この日の朝稽古後、部屋宿舎の裏口にある段差に腰掛けいつものように取材に応じた。ほどなく、話している最中に上空を飛行機が通過。エンジン音で自分の声がかき消されそうになった。後方の報道陣に自分の声が届かないとみるや、すぐに話すのを中断。飛行機が遠ざかってから再び話し始めた。大事な一日を迎えた朝も、気配りをみせる心の余裕はあった。

 「自分と向き合う時間が長かった」。14日目は立ち合いで思い切りの良さが消え、良いところなく腹ばいになった。日ごろから、相手ではなく自らの内面を重視する22歳。切羽詰まって視野が狭くなってもおかしくはない状況でも、一晩で切り替えた。

 27日に行われる臨時理事会と番付編成会議を経て、正式に大関貴景勝が誕生する。「目指していたものだからうれしい」としながらも、「2場所で(関脇に)落ちたら何の意味もないし、ここがゴールじゃない」と続けたところにらしさが詰まる。

 角界の看板力士としてより多くの注目を浴びることになる。「さらに上を目指さないと務められない。体が大きくないし、まわしは取らず突き押し一本で、気持ちの強い力士になりたい」。慶事なのに、景気の良い言葉は決して吐かない。だからこそ余計に今後への期待が膨らむ。 (禰宜田功)

 

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