東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > スポーツ > 紙面から > 4月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【スポーツ】

「女子プロ野球のイチロー」三浦選手 本家追い「ヒット続ける」

鋭い打球を放つ三浦伊織さん=京都市右京区のわかさスタジアム京都で

写真

 野球を愛する気持ちは「本家」にも負けない。「女子プロ野球界のイチロー」と呼ばれる京都フローラ所属の外野手三浦伊織さん(27)は、女子史上初の年間打率5割の記録を持つ。同じ愛知県出身で「イチローさんのように、やめるまで輝き続けたい」。引退した先人への憧れを胸に、女子プロ野球が創設10年目の節目を迎えた今季もバットでファンを魅了する。 (横井武昭)

 「伊織、伊織!」。三月二十五日、わかさスタジアム京都(京都市)での開幕第四戦。三安打二打点の活躍でチームを勝利に導くと、球場に「伊織コール」がこだました。

 女子野球で残した成績は圧倒的だ。これまで三度、首位打者に輝き、二〇一四年は打率五割を記録。昨季は七年連続の最多盗塁女王とゴールデングラブ賞も獲得し、二度目のリーグMVPに選ばれた。

 同県一宮市の少年野球チームで白球を追い始めた頃からイチローさんに憧れた。「芸術的なヒットを見て自分もこんなふうに打つんだってイメージした」。中学は野球部に入れず、高校ではテニスに打ち込んで全国大会に出場。野球への思いを捨てきれず、一〇年に女子プロ野球の門をたたいた。

 ベストナインの一員としてイチローさんと合同自主トレをする機会に恵まれたことがある。「緊張で何も話せなかった」と笑うが、バッティング練習で一球一球を大切にする姿勢を目に焼き付けた。

 迷った時もお手本にした。三番打者が定位置だったが、昨季から一番に。「打てばチームが調子づくけれど、打ち損じれば相手投手が楽になる。一番は難しい」と悩んだ。でも「イチローさんもずっと一番だ」と気持ちを切り替えると、先頭で引っ張る楽しさが分かった。

写真

 引退には寂しさが募る。だが、その最後の姿にも大切なことを教わった。イチローさんは会見で「野球を愛したこと」を誇った。それは、十年目を迎えた女子野球の自分たちにもあてはまる。

 球場に足を運ぶファンは増えつつあるものの、今後も存続させるには努力が必要と感じていた。「野球がなかなかできない環境で育ったから今は毎日できることが幸せ。女子野球の魅力は笑顔や楽しんでやっているところ。それを良いと思ってくれるファンを大切に、次の世代につなげたい」

 女子史上初の通算五百安打がかかる今季。開幕戦で自身初の柵越え本塁打を放つなど好調だ。「誰にも超えられないぐらいヒットを打ち続けたい。『あれ、女子のイチローだよ』って見に来てくれるお客さんもいるから。その期待を裏切らないように」。スマートフォンの待ち受け画面はイチローさん。大記録を刻み続けた先駆者の姿をお守りに、今日も打席に立つ。

<日本女子プロ野球リーグ> 2010年に発足。現在は京都フローラと愛知ディオーネ、埼玉アストライアの三つのトップチームがあり、リーグ戦は春、夏、秋の3シーズン制で行う。春季は3月23日に開幕した。他に若手の育成球団レイアが所属する。昨年は年間来場者数が9万5526人で過去最多となった。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報