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【スポーツ】

柔道・近藤亜美 五輪争い 自分との闘い 重圧、燃え尽き…すり減る心

柔道の全日本体重別選手権女子48キロ級で初戦敗退し、涙を流しながら引き揚げる近藤亜美=7日、福岡国際センターで

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 「もう負けても大丈夫な大会はない。常に心がすり減るというか…」。リオデジャネイロ五輪柔道女子48キロ級銅メダリストの近藤亜美(三井住友海上)はそこまで言うと、こらえていた涙がぽつりとこぼれ落ちた。

 各競技でシーズンの幕が開け、東京五輪へ向けた代表選考が本格化してきた。先週末は東京で競泳、体操、横浜で卓球、福岡では柔道の大会が行われた。勝てば五輪へ一歩近づき、負ければ遠ざかる。これまで以上に1大会の重みが増し、選手にはプレッシャーがのしかかる。

 近藤は7日の全日本選抜体重別選手権で初戦敗退。「緊張しているか、していないか、訳が分からなかった。気合を入れすぎるくらいでないと、畳に立っていられない」。世界選手権を制し、五輪を経験した猛者でさえ、そのような精神状態になってしまう。

 心と向き合うのは大会期間中だけではない。高いモチベーションを維持し、走り続けるには限りがあるのだろう。リオ五輪陸上男子50キロ競歩銅メダルの荒井広宙(ひろおき=富士通)も一時、燃え尽き症候群のような状態に陥った。

 リオまでの4年間は初の五輪代表を目指し、がむしゃらだった。夢の舞台でメダルを獲得。心の中は達成感が包み、飢餓感が失われた。そこから気持ちの盛り上げに苦しんだ。「昨年の夏ごろ、このままではだめだ、東京に間に合わないと思った。気持ちに波がある。どう高い波で臨めるか」。自衛隊を退職し、富士通へ。新しい指導者を求め、環境を変えた。

 競泳男子をけん引してきた萩野公介(ブリヂストン)は日本選手権を欠場。精神面が疲弊してしまった。「モチベーションを保つことがきつくなってきた」「今は競技に正面から向き合える気持ちではない」とコメントする。

 東京五輪まであと1年3カ月。いかに心をすり減らさず、高い波で選考会に挑み、五輪本番へとつなげるか。ライバルと戦う前に、己という「難敵」に勝たなくてはならない。それが何より難しい。 (森合正範)

 

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