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【スポーツ】

怒らない指導 ルールに 五輪へスポーツ界改革

自身の名前を冠したバレーボール大会で子どもらと笑顔で触れ合う益子直美さん(右端)=1月、福岡県宗像市で

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 指導者の暴力やパワハラ問題が相次ぐスポーツ界に一石を投じる動きが国内で広がりつつある。来年に東京五輪・パラリンピックを控え、怒らない指導の取り組みや暴言への反則厳罰化など改革の流れが生まれてきた。

 元バレーボール日本女子代表の益子直美さん(52)が、自身の名前を冠した小学生の大会を福岡県宗像市で始めたのは二〇一五年。参加チームのレベルはさまざまだが、一つだけ特別ルールを設けた。「監督が選手を怒ってはいけない」ことだ。

 指導者が怒ると、選手が益子さんに知らせに行き、益子さんが注意する。中には自ら口をテープでふさぐ指導者もいるという。「最初は不安だった」と打ち明ける益子さんだが、参加者からは「声のかけ方を注意するようになった」「楽しくプレーするきっかけになった」との意見が寄せられ、回を重ねるごとに注目を集めるようになった。

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 このルールを定めた理由は自身の体験にある。競技を始めた中学校では「怒られ過ぎて自信を持てなかった。『はい』と『いいえ』しか監督には言ったことがない。感情を封印することだけを覚えた」。高校でも厳しい指導は続いた。ところが社会人になると「自主性が尊重され、試合を楽しんでやりなさいと言われる。楽しむってどうやってやればいいの?」と戸惑いを覚えたという。

 小学生にも「スパルタ指導」が行われていると耳にし、思い立った。五回目となった一月の大会では選手からの報告が一度だけ。指導者の意識の変化を実感している。スポーツ庁の鈴木大地長官(52)も「素晴らしい試み」と賛辞を贈った。

 日本バスケットボール協会(JBA)は四月から指導者による試合中の暴力や暴言をテクニカルファウルとして厳しく取り締まる方針を打ち出した。テクニカルファウルは二度で退場となる重い処分だ。

 JBAによると、二〇一四年以降で全国高等学校体育連盟が体罰と認定した件数のうち、18%の二十七件がバスケで全競技最多。同年以降に日本スポーツ協会に寄せられた相談もバスケが六十件で最も多かった。一二年に大阪・桜宮高で顧問の体罰を苦に男子生徒が自殺した事件が起きたが、暴力行為がはびこる状況は今も変わっていない。

 小中学生からBリーグまで全ての国内大会でこのルールを適用し、幅広く浸透させることを目指す。JBAの宇田川貴生インテグリティ委員長(57)は「急に暴言や暴力がゼロになることはあり得ない。でも意識を変えていくことで、時間はかかるけど少しずつ指導法は変わっていく」と、試合だけでなく練習の場からも暴力や暴言がなくなることを期待した。

 

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