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【スポーツ】

<平成の風 激動のスポーツ界>(1)平成16年・プロ野球初のスト 1リーグ化阻止へ決起

スト突入を決め、会見で険しい表情を見せる日本プロ野球選手会の古田会長(左)。右は経営者側の交渉役だった瀬戸山ロッテ球団代表=2004年9月17日、東京都内のホテルで

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 プロ野球の長い歴史で球音が消えた日がある。平成16(2004)年9月18、19日の2日間。史上初のストライキで計12試合が中止になった。

 「オリックスと近鉄の統合反対に署名してくれたファンにおわびしたい。週末にプロ野球を楽しみにしていた皆さんにも申し訳ない…」。スト突入を決めた17日夜、会見に臨んだ労組・日本プロ野球選手会の古田敦也会長(当時)の表情は苦渋に満ちていた。

 合併凍結が無理なら、来季からの新規参入を−。選手会の12球団存続の訴えに、日本野球機構(NPB)がその確約を最後まで拒んだため、古田会長は伝家の宝刀を抜いた。さらに、世論はこのストを圧倒的に支持した。ファンは試合の行われない各球場に押し寄せ、選手のサイン会には長蛇の列ができた。この光景はファンあってのプロ野球という当たり前のことを経営側に改めて再認識させた。

 オリックスと近鉄の合併が表面化したのは同年の6月。翌月にはもう一組(後にロッテとダイエーと判明)の合併話が進んでいることも明らかになった。巨人とパ・リーグがタッグを組み、10球団1リーグ制への移行を目指した。

初の日本一になり捕手嶋と抱き合って喜ぶ田中(中)ら楽天ナイン=2013年11月3日、Kスタ宮城で

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 ロッテの重光昭夫オーナー代行(当時)の言葉が印象に残っている。「中内(〓)さん=ダイエー、堤(義明)さん=西武、宮内(義彦)さん=オリックス…。日本を代表する経営者がやってもうまくいかない。これはシステムを変えるしかない」

 赤字に苦しむパの球団は親会社の補填(ほてん)なしにはやっていけない状況だった。1リーグ制になれば、ドル箱カードだった巨人戦の主催で収益の改善が見込めた。

 もう一組の合併は実現しなかったが、経営の論理だけで球団数を削減する動きに「ファンを無視した再編論議はおかしい」と待ったをかけたのが選手会だ。経営の論理に組合の論理で対抗するのではなく「プロ野球の将来」を訴え続けた。そして楽天の新規参入で12球団が存続し、翌年からの交流戦導入など球界の構造改革へとつながった。

 東日本大震災から2年後の平成25(13)年。楽天は悲願のリーグ初優勝で被災者との「約束」を果たした。巨人との日本シリーズも制して日本一に。復興に励む東北の人たちをどれだけ勇気づけたことだろうか。

  (牧田幸夫)

     ◇    ◇     

 「平成」が間もなく幕を下ろす。スポーツ界でもさまざまな出来事が起きた。「令和」を前に、平成という時代に刻まれた主なスポーツシーンを改めて振り返る。

※ 〓は、エへんに刀

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