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【スポーツ】

<平成の風 激動のスポーツ界>(5)新風、メジャーも驚く 最高峰の舞台で夢の競演

2003年の大リーグオールスター戦で、プホルスの打球を好捕したマリナーズのイチロー。左はヤンキースの松井=USセルラー・フィールドで(共同)

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 野茂英雄が切り開いた日本選手の米大リーグ挑戦。野茂の渡米から8年後の平成15(2003)年の大リーグ取材は、思い出深いものになった。巨人の主砲だった松井秀喜がヤンキースへ移籍。イチロー(マリナーズ)とはタイプの違う強打者が、メジャーの世界に新風を吹き込んだ。 

 前年まで巨人を担当していた筆者はこの年、現地で取材する機会に恵まれた。特に7月15日、シカゴで行われた第74回オールスター戦は胸が躍った。ア・リーグの先発メンバーに「1番・右翼」のイチローとともに、松井の名もあった。「7番・中堅」。最高峰の舞台で、日本選手による“夢の右中間”が形成されたのだ。

 メジャー3年目のイチローは、既に押しも押されもせぬスーパースター。球宴のファン投票で3年連続両リーグ最多票を獲得して選ばれた。一方の松井もア・リーグ外野手部門3位の票を集めた。

 「ホームラン打者」として期待された松井だったが、メジャーでは「勝負強い中距離打者」にスタイルを変えた。名門チームの中軸を任され、本塁打よりもチームの勝利に直結する打点にこだわった。球宴では初打席で左前打を放ち、「こういう場を経験できたことは、これからの僕にとって良かった」と話した。

 ア・リーグの指揮を執ったソーシア監督は言った。「日本には素晴らしい選手がおり、名声を得た選手が海を渡ってくるようになった。その中でもイチローと松井はものすごいプレーヤーだ」

 この試合には長谷川滋利(マリナーズ)も登板。日本選手が球宴で3人出場したのは初めてだった。

投打の「二刀流」で米大リーグを席巻し、昨季のア・リーグの新人王に選出されたエンゼルスの大谷翔平=共同

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 時代は流れ、昨季は大谷翔平(エンゼルス)が登場した。現代野球の常識を覆す投打の「二刀流」は米国のファンを驚かせた。3月に現役を引退したイチローは大谷に「世界一にならなければいけない選手」と夢を託した。「投手として20勝して、その翌年に50本塁打を打ってMVPを取ったら化け物ですよね。それが想像できなくはない」と。

 パイオニアの野茂から今季からマリナーズに加入した菊池雄星まで、平成の時代にメジャーでプレーした日本選手は57人に上る。かつての憧れの地は、当たり前のように日本の猛者たちが自分の実力を試す場所となった。

 令和の時代もトップ選手はためらうことなく海を渡ってほしい。それが間違いなく日本の野球に還元される。 (牧田幸夫)

 =おわり

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