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【スポーツ】

努力の27歳 琴恵光勝ち越し 幕内4場所目で初

琴恵光(左)が引き落としで阿武咲を破る

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◇大相撲夏場所<10日目>

 一人横綱の鶴竜は平幕阿炎を冷静にはたき込んで1敗を維持した。関脇栃ノ心は小結御嶽海を寄り切って9勝目を挙げ、大関復帰まであと1勝とした。

 3敗の2大関は高安が竜電を押し出し、豪栄道は隠岐の海を突き落とした。1敗のトップは鶴竜、栃ノ心、正代を寄り切った平幕朝乃山の3人で変わらなかった。2敗は阿武咲に勝った平幕琴恵光だけとなった。

 十両は貴源治が初日から10連勝とし、単独首位を守った。

    ◇

 土俵下で顔を天井に向け、喜びをかみしめるように、あふれそうな涙を我慢するように、琴恵光はきつく目を閉じた。身長177センチ、体重138キロと幕内では小柄な体で、まじめにこつこつと努力してきた27歳が、幕内4場所目の挑戦で初めて勝ち越した。

 「中に入りたかったので、起こしていった」と立ち合いで右で張る。狙い通り浅く2本入ったが、三役経験もある阿武咲に簡単にもろ差しは許してもらえない。差した両腕は抜け、前に出られたが、落ち着いていた。体を開いて右からいなし、引き落とした。

 昨年7月の名古屋場所で新入幕。十両に2場所陥落した後、今年1月の初場所で再入幕を果たして7勝8敗。続く春場所は、6勝2敗からまさかの6連敗。終わってみれば、また7勝止まりと白星が一つ足りなかった。

 「悔しい思いはあった」。だが、2場所連続で7勝を挙げて自信もついた。「大差で負けているわけではない」。力がついたと信じて、今場所は土俵に上がった。

 琴恵光の勝ち越しを自分のことのように喜んだのは、兄弟子の琴奨菊だ。「すごいと思う、あの(小さな)体でね」と目尻を下げ、「自分が教えることは、ほぼない」。八角理事長(元横綱北勝海)も「何回はね返されても、結果が出る。こういう人が部屋にいれば、若い衆も見習う」。地道な努力を続けることの大切さを、琴恵光のような関取が教えてくれる。

 風呂から上がった支度部屋。「やっぱりうれしいです。でも切り替えて。まだ残っているので」と控えめに喜んだ。笑顔も控えめだと指摘されたら「みんながいなくなったら、笑います」。いつもまじめな関取が、少しだけほほ笑んだ。 (平松功嗣)

 

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