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【スポーツ】

朝乃山、花開いた大器 三役経験ない平幕Vは58年ぶり

豪栄道(右)を寄り切りで破った朝乃山。結びの一番で鶴竜が敗北し、初優勝を決めた

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◇大相撲夏場所<14日目>

 単独首位の平幕朝乃山が大関豪栄道を寄り切って12勝2敗とし、3敗で追っていた横綱鶴竜が関脇栃ノ心にはたき込まれたため、千秋楽を待たずに初優勝を果たした。

 三段目最下位格付け出しデビューで25歳の朝乃山は、初土俵から所要20場所での初制覇で、史上8番目の速さ(付け出しを含む)。新入幕から所要11場所は、年6場所制となった1958年以降で8位のスピードとなった。平幕優勝は昨年初場所の栃ノ心以来。三役経験がない平幕の制覇は61年夏場所の佐田の山以来、58年ぶり。

 栃ノ心は10勝目を挙げ、規定により1場所での大関復帰を決めた。豪栄道は5敗目。大関高安は6敗目を喫した。小結碧山は負け越した。

 十両は貴源治が13勝1敗として優勝を決めた。

     ◇

 大一番にも、大関にも臆さない。朝乃山の相撲は、優勝力士らしくスケールが大きかった。

 最初は右下手だけで、豪栄道には左上手を許した。不利な姿勢だが、左から絞り上げるように上手をつかみ、力技でがっぷり四つに。対等な姿勢になった瞬間に「がむしゃらにいくしかない」。土俵際まで寄られても、上手を目いっぱい引きつけて体を入れ替える。腹を決めた真っ向勝負で大関を寄り切った。

 「今までなら右だけで寄って、すくい投げとかしていた」。平常心を強調してきた今場所は違う。無理な体勢から慌てて攻めるより「富山の人間山脈」の異名を取る体格を生かすには正攻法でいい。近大から三段目最下位格付け出しでデビューして3年。精神面でも一皮むけて、当初から期待されてきたスケールの大きな四つ相撲が花開いた。

 直後の結びで鶴竜が敗れて優勝が決まっても、土俵下で淡々とした表情のまま。「優勝しても、昨日が納得いっていないので。うれしいとか、やったーという興奮はない」

 物言いの末に行司軍配差し違えとなった栃ノ心戦の白星が割り切れず、わだかまりが「一生残るんじゃないか」と気が晴れない。栃ノ心とはインタビュー室ですれ違い「おめでとうと言ってくれたのでうれしい」と優勝そのものよりも喜び「昨日の相撲はすいませんと謝りたい」とも口にした。

 優勝をつかんでも喜ばない様子は、むしろ器の大きさを感じさせる。令和初の賜杯獲得を決めたが「何も無いです」。千秋楽の表彰式でトロフィーを手渡される予定のトランプ米大統領については「ウィキ(インターネットのサイト)で調べます」と少しおどける余裕をのぞかせた。

 「けががなければ大関、横綱も夢じゃない。新しいスターの誕生」と尾車事業部長(元大関琴風)。安定感のある四つ相撲を磨いた先には、さらに大きな将来が広がっている。 (海老名徳馬)

<朝乃山英樹(あさのやま・ひでき=本名石橋広暉)> 富山市出身、高砂部屋。富山商高から進んだ近畿大4年の15年に全日本選手権で4強入り。同年に導入された三段目最下位格付け出し資格の適用を初めて受け、16年春場所で初土俵。17年春場所新十両、同年秋場所新入幕。敢闘賞2回。得意は右四つ、寄り。187センチ、177キロ。25歳。

 ▽スピード初優勝 初土俵から所要20場所は史上8番目の速さ(付け出しを含む)。新入幕から同11場所は年6場所制となった58年以降で貴花田、曙と並び8位。

 ▽富山県出身 太刀山に続いて2人目で1916年夏場所以来103年ぶり10度目の優勝。最多は北海道の120度。

 ▽高砂部屋 2010年初場所の朝青龍以来、9年ぶり46度目の制覇。部屋別最多は52度の九重部屋。

 ▽学生出身 山錦、輪島、朝潮、出島、武双山、琴光喜、御嶽海に続き8人目の制覇。近大出身では朝潮に続き2人目。

 ▽付け出し力士 輪島、朝潮、出島、武双山、琴光喜、御嶽海に続いて7人目。

 

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