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【スポーツ】

<ウィメンズ・リポート 咲きつづけたい>産後復帰「環境変えたい」 柔道選手の現状研究・中村美里

修士論文を手にほほ笑む中村美里=東京都世田谷区で

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 産後に競技復帰を目指す女性アスリートが、子育てと体をつくり直す作業に同時に取り組む難しさは、同性の選手ですら考えが及ばないことがある。柔道女子52キロ級で2008年北京、16年リオデジャネイロと五輪2大会銅メダルの中村美里(30)=三井住友海上=もそんな一人だった。筑波大大学院で今春までの2年間、出産を経験した国内外の柔道選手3人の活動を研究。厳しい現状を知って「環境を変えたい」と思うようになった。

 友人で12年ロンドン五輪女子57キロ級金メダルの松本薫さん(31)がリオ後に結婚、出産し「ママでも野獣」を掲げて競技を続ける姿を見守ってきた。中村は「柔道一本の人生で、視野を広げたい」と17年4月に同大学院人間総合科学研究科に入学。研究テーマに悩んだとき、自分は独身だが、今後を考える上でも「今までは出産したら引退するのが当たり前だと思っていた。でも、なぜ子どもか競技かを選ばないといけないんだろう」と思い至った。

 松本さんのほか、フランスと中国の30代の五輪選手から話を聞いた。松本さんと仏選手は、保育園に預ける時間以外にも子どもの面倒をみてくれる第三者がいないと、トレーニング時間の確保が難しいと指摘。中国では代表合宿などが優先されるため、産後はすぐに子どもを実家に預けて離れていた。

 一方、産後のアスリートに関する情報の少なさも浮き彫りに。松本さんは産前と比べて「あの時できたことが今はできない」と焦りを募らせたといい、「その時々にあった練習法で、この程度で良いんだよと伝えられる先輩が周りにいてくれたら」と中村。修士論文は「トップ選手といえど、一般女性と共通することが多く、環境面のサポートが特に大切」と締めくくった。

 環境をどう変えていくのが望ましいか。中村は「競技団体ですべてをカバーするのは難しいので、女子選手の支援に特化したスポンサー企業が現れてもいいのでは」と期待する。出産を経験した女性コーチも増えている。「研究した自分も含めて、まずは選手にこうした知識を教えていきたい」と地道に働き掛けるつもりだ。 (兼村優希)

 

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