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【スポーツ】

小兵・炎鵬、大きな一歩 10度目の正直で初勝ち越し

炎鵬(右)が寄り切りで妙義龍を破る

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◇大相撲名古屋場所<14日目>

 横綱鶴竜が関脇御嶽海を冷静に寄り切って1敗を守り、再び単独トップに立った。1敗で並んでいた横綱白鵬は平幕琴奨菊に寄り切られて2敗目。元大関の琴奨菊は3個目の金星獲得。

 千秋楽の横綱同士の対決で、鶴竜が白鵬に勝てば、7場所ぶり6度目の優勝が決まる。2場所ぶり43度目の制覇を狙う白鵬が勝てば、優勝決定戦に持ち込まれる。

 ただ一人2敗だった平幕照強は北勝富士に突き落とされて3敗目。

 十両は剣翔が12勝目を挙げ、初優勝を決めた。

     ◇

 結びの一番のような盛り上がりだった。うちわが小刻みにはためき、観客に笑みが広がった。幕内で最も小さな男に注がれた大歓声。ただ、炎鵬は「何も聞こえなかった」。10度目の正直でやっと手にした幕内で自身初の勝ち越し。頭の中は真っ白だった。

 三役経験の豊富な実力者、妙義龍との一番。「ちょっと気持ちに焦りがあった」。2度もつっかけた。前夜から考えていた作戦は単純明快。「(立ち合いから)真っすぐ行こう」。頭から当たって相手のかち上げをこらえた。いったん離れて、すぐさま相手の懐に飛び込む。首を抱え込まれたがもろ差しで反撃。最後は小さな体ごと寄り切った。

 先場所の10日目から数えて、給金直しを懸けた一番は9番連続で負けていた。師匠の宮城野親方(元幕内竹葉山)も「緊張しすぎで相撲がここ一番で変わっちゃった。おどおどしているから余計に攻められちゃう」と、首をかしげる変わりよう。あと1勝が遠かった。兄弟子の横綱白鵬からは前夜に「明日、負けたら帰ってくるな」。冗談めかして気合を入れられた。「絶対に決めてやろう」と発奮材料にした。

 名古屋入り後、朝稽古中に古傷の右肩を痛めた。12日目には取組中に右足首を痛め、朝稽古を2日連続で休んだ。土俵の神様が与えた試練。「勝つことの難しさ、1勝の重みを感じた」と、生みの苦しみを振り返った。

 支度部屋に戻り、記者に囲まれた。白い歯を見せることはなかった。感情をぐっと押し殺しているようだった。「土俵下で込み上げるものを抑えているように見えたが」と質問された次の瞬間、タオルで目頭を押さえた。「苦しかった」。そう声を絞り出すとまた、目頭を押さえた。 (禰宜田功)

 

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