東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > スポーツ > 紙面から > 7月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【スポーツ】

ラグビー 日本、チーム底上げへ二つの鍵 複数のポジション/攻めるディフェンス

 ラグビー日本代表は、27日に開幕するパシフィック・ネーションズカップ(PNC)に臨む。6月上旬からは3クールに及ぶ合宿を宮崎市内で敢行。9月に開幕するワールドカップ(W杯)日本大会に向け、ジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチ(HC)はこの期間に何を試し、磨こうとしたのか。1カ月以上に及ぶ合宿を通じて見えてきたキーワードは、「複数ポジション」と「防御」だ。 (対比地貴浩、平井良信)

◆危機管理 チーム全体で重視

WTBにも挑戦する松島(中)

写真

 実戦的な練習に入った合宿の第3クール。松島幸太朗(サントリー)が本職のFBではなくWTBでプレーした。「(理由は)たぶん適当」と冗談めかすが、前回のW杯ではWTBを務めて日本の快進撃に貢献しただけに、スピードとステップを生かして大外を疾走していた。

 「複数ポジションをできる選手が必要」。ジョセフHCの選手の選考基準は一貫している。複数ポジションをこなす選手の育成は、チームとしての危機管理の一環でもある。代表選手はW杯の最終登録で31人となり、さらに各試合に出場できるメンバーは23人に絞られる。各試合の控えは8人。そのうち、5、6人が体力の消耗が激しいFWにあてられる。バックスの控えは2、3人で、マルチな選手が重宝される。ジョセフHCは「経験させるには今が一番」と、役割の掛け持ちをあえて意識させたようだ。

 複数のポジションをこなすことで、厳しい代表争いを勝ち抜いていこうとする選手もいる。FW第3列が主な仕事場の姫野和樹(トヨタ自動車)は久々にロックに挑戦。屈強な外国出身者がひしめく激戦区だが、体格や実績で劣る24歳は「複数ポジションできるのが自分の武器」。他の選手との差別化を図る好機とみて、意欲的に取り組んだ。

 2月の合宿ではフランカーだった中島イシレリ(神戸製鋼)は左プロップに。スクラムを最前列で組む極めて専門性の高いポジションだけにあまり例のないコンバートだが、中島は「チャレンジは好き」と前向きだ。身長186センチ、体重120キロとプロップが本職の選手顔負けの巨体を生かしてスクラムで対等にやり合った。起用のめどがつけば楽しみな存在になる。

 複数のポジションを任せられる選手の育成は、着々と進む。レギュラーを固定しない練習は、チームの成熟が遅れる危険性もあるが「現段階では地力を上げる」とジョセフHC。ぶれない姿勢で、代表の底上げを狙う。

◆体格差克服へ 守備範囲明確に

守備練習を繰り返す日本代表の選手たち=いずれも宮崎市で

写真

 体の小さな日本の選手が、大きくて強い海外勢をいかに止め、攻撃に転じるか。永遠とも言える課題と向き合ったのが宮崎合宿の第2クールだった。弱点克服へ、ジョセフHCがメスを入れたのが守備陣形。背景には昨年11月の苦い経験がある。

 世界最強のニュージーランドとのテストマッチ。日本は5トライを奪ったが、その倍の10トライを返された。組織的に素早く前に出て圧力をかけ続けるのが日本の防御の特徴。だが、わずかな連係の乱れを突かれて防御ラインの間を簡単に割られた。CTB中村亮土(サントリー)は「攻撃はいいものを持っている。防御でどれだけ失点を抑えられるか」と課題を口にする。

 合宿で指揮官が見直したのは、ポジションの立ち位置。裏に抜かれてもカバーしやすい配置に変え、守備範囲も明確にした。その分、迷いなく前に出られるようになり、練習ではインターセプトの回数も増加。フッカー堀江翔太(パナソニック)は「アタックと同様にディフェンスも攻撃的にいかないと」と手応えを深める。

 基盤となる個々のタックルも磨いた。より接触プレーが多い13人制ラグビーの元ニュージーランド代表を臨時コーチに招いて相手の動きを封じる技術を学んだ。体格差のある相手に対し上半身に1人、下半身に1人が同時に止める「ダブルタックル」も徹底。日本がワールドカップ(W杯)で対戦するアイルランドなどはFWが強く、接点で負けないことが勝利の鍵を握る。

 W杯の前哨戦、PNCの初戦で当たるフィジーは個々の身体能力が高く、合宿の成果を試すには格好の相手。どれだけ精度高く守れるか。「日本代表の成長を見る試合になる」とリーチ・マイケル主将(東芝)。本番に向けた大事な試金石となる。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報