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【スポーツ】

ありのままいたい 「LGBTQ」公表 女子サッカー・下山田選手

試合に勝利し笑顔を見せるスフィーダ世田谷のMF下山田志帆選手=31日、神奈川県立保土ケ谷公園サッカー場で

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 女子選手だからといって「女性っぽさ」は求められたくない。女性のパートナーがいるけれど、女性が好きなのは自分が「女性として」なのかは分からない−。サッカー女子のなでしこリーグ2部、スフィーダ世田谷のMF下山田志帆選手(24)は、自身が性的少数者(LGBTQ)であると明かし、スポーツ界のジェンダーについて発信を始めた。31日のニッパツ横浜FC戦ではリーグデビューし勝利に貢献。新たな一歩を踏み出し「選手みんなが変わろうとしている。もっとオープンになるよう意識を変えるのは自分次第」と話した。 (神谷円香)

 女子サッカー界に十年ほど前からある「メンズ」という言葉。恋愛対象が女性で、見た目がボーイッシュな選手を表してきた言葉が、今の自分のセクシュアリティー(性の在り方)に一番しっくりくるという。

 男子と遊び、男友達に誘われ小学三年からサッカーを始めた「男の子っぽい」子どもだった。小学六年の頃、大人の女子選手たちが「彼女がいる」と話すのを聞き「そういう大人もいるのか」と感じた。中学では、男女の恋愛に夢中になる同級生になじめなかった。

 高校は女子サッカーの強豪校に進学。女子校は当初、嫌だったが、男性の目がない世界は楽だった。高校三年で初めて「彼女」ができ、女性が好きだと認識した。環境が変わったのは大学。サッカー部も男女で区分され、移動の際はレディーススーツを着た。男性になりたいと強く思ったわけではない。でも女性を意識させられるのは嫌だった。

 さらなる転機は大学卒業後に選手として渡ったドイツ。セクシュアリティーへの価値観が変わるとは考えていなかったが、女性が好きと言っても普通に受け入れられる寛容な社会で「生きやすい」と感じた。周りに言えずもやもやしたままでは「後悔する」と考え昨年末、親にカミングアウト。日本の現役選手が公表するのは珍しいが、今年二月にインターネット上で自らの思いを打ち明けた。

 平均的に男性の方が体格が大きく、体力もあることなどから、男女が別々でプレーすることには納得している。ただ、スポーツ界の女性アスリートを取り巻く気風には違和感を覚える。「女性らしさを色や表情、ポーズですごく出させられるなと思う。サッカーはまだましだけど、すごく丈の短いユニホームとか。全ての女性アスリートがそれを求めているわけじゃない」。選手が嫌がっても、スポンサーらの意向で決まってしまうこともあるという。

 二〇二〇年東京五輪・パラリンピックを控え、多様性に関心が集まる日本で活動しようと帰国を決めた。最近は「メンズ」の定義も揺らいでいると感じる。「男女両方が恋愛対象の人、女性っぽく髪を伸ばしたい人もいる。自分の性をどこに当てはめればいいのかと悩むメンズが増えている気がする」。自身も髪を伸ばしたくはなっても「自分は女性」と言えるかは今も分からない。だからこそ、ありのままでいられるスポーツ界にしようと思っている。

◆14、22日に講座

 東京都渋谷区の渋谷男女平等・ダイバーシティセンターで九月十四、二十二の両日、スポーツとジェンダーの平等を考える連続講座がある。十四日午前十時半〜正午は性の多様性の基礎知識、午後一時半〜三時半には下山田選手も登壇し国内外アスリートのカミングアウト事情について話す。二十二日は午前十時〜正午にジェンダーの視点から見るスポーツ、午後二〜四時に女性アスリートのキャリア形成を扱う。無料、一部のみ参加も可。問い合わせは同センター=電03(3464)3395

<しもやまだ・しほ> 茨城県出身。つくばFC、十文字高(東京)、慶大でプレー。2015年ユニバーシアード大会の日本女子代表候補。17〜19年、ドイツ女子2部リーグのSVメッペンに所属。7月からなでしこリーグ2部のスフィーダ世田谷に加入した。

<LGBTQ> 性自認が女性の同性愛者(レズビアン=L)、性自認が男性の同性愛者(ゲイ=G)、両性とも恋愛対象の人(バイセクシュアル=B)、性自認と身体の性別が異なる人(トランスジェンダー=T)に加え、自身の性自認が分からない、決めていない人(クエスチョニング=Q)を含めた性的少数者の総称。Qは性的少数者全体を表す「クイア」の略でもある。

 

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