東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > スポーツ > 紙面から > 9月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【スポーツ】

<マラソン交差点・上>設楽と大迫 同学年ライバル初対決

ゴールドコーストマラソンで優勝した設楽=7月(共同)

写真

 2020年東京五輪代表を決める「マラソングランドチャンピオンシップ」(MGC=本社など共催)が15日に開催される。男子の有力4選手を上下に分けて紹介する。今回は前日本記録保持者の設楽悠太(ホンダ)と日本記録保持者の大迫傑(ナイキ)。同学年の2人が歩んできた道のりはどのように交差するのか。 (森合正範)

 1月中旬、ホンダの小川智監督は諭すように言った。

 「東京マラソンは『なし』だよ」

 「分かりました」

 設楽は気持ちを抑え、淡々と答えた。出場予定だった3月の東京を辞退する。それは大迫とのマラソン初対決が流れたことを意味した。

シカゴマラソンで日本記録を塗り替えた大迫=昨年10月、米シカゴで(AP・共同)

写真

 小川監督は設楽の心の中を察知していた。「悠太は大迫選手との対戦をずっと楽しみにしていた。でも(体調不良で)出られる状態じゃない」。設楽は目標を失い、春になっても心は沈んだまま。チームの練習では集合だけして、部屋に戻る日もあった。大迫という存在。何がそこまで設楽を突き動かすのだろうか。

 2人は1991年生まれの同学年。設楽は東洋大、大迫は早大で1年から箱根路を沸かせた。だが、立場は微妙に違う。設楽は東洋大のエースで双子の兄・啓太の陰に隠れていた。一方の大迫は1年からチームの大学駅伝3冠に貢献し、世代を代表をする選手だった。設楽は言う。「大学時代(大迫は)憧れの選手。当時は向こうのレベルが全然上。意識はしていたけど、ライバルとは思えなかった」

 設楽はホンダに入り、着実に力を付け、走りを磨いてきた。元日の全日本実業団対抗駅伝ではエースが集まる4区で区間記録を次々と塗り替えた。大迫は早大卒業後、実業団を1年で退社。ナイキが実施する米オレゴン州の強化育成プログラムに参加し、異国でプロの道を選んだ。

 そして、2人の主戦場はトラックから42・195キロへ。まずは大迫が2017年12月の福岡国際で2時間7分19秒の好タイムをマーク。設楽は「大迫のタイムをターゲットにする」と翌年2月の東京に挑み、2時間6分11秒で16年ぶりに日本記録を更新した。今度は大迫が8カ月後のシカゴで「設楽の記録は刺激になった」と2時間5分50秒で抜き返す。追いつ追われつ、異なるレースでそれぞれが記録を伸ばしていった。

 7月のゴールドコーストで優勝するなど、設楽はマラソンの経験を重ね、今では自信も身にまとう。「(大迫に)トラックでは1本も勝ったことがないけど、振り返れば、ロードでは大学、社会人でも勝っている。MGCは大迫選手と僕の対決が一番の見どころ。名前で負けない。強気に行って、もちろん優勝を狙う」。大学時代、ライバルとさえ思えなかった憧れの存在が手の届くところにいる。

 刺激し合う同学年の2人。前日本記録保持者と日本記録保持者。舞台は日本中が注目するMGC。設楽は6度目、大迫は5度目のマラソンで初めて交わる。

<設楽悠太(したら・ゆうた)> 2016年リオデジャネイロ五輪男子1万メートル代表。17年、ハーフマラソンで1時間0分17秒の日本記録を樹立。埼玉・武蔵越生高、東洋大出。ホンダ。27歳。埼玉県寄居町出身。

<大迫傑(おおさこ・すぐる)> 2016年リオデジャネイロ五輪男子5000メートル、1万メートル代表。男子5000メートルで13分8秒40の日本記録保持者。長野・佐久長聖高、早大出。ナイキ。28歳。東京都町田市出身。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報