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【スポーツ】

MGC女子 前田淡々 独走でつかんだ

MGC女子 1位でフィニッシュする前田穂南=東京・明治神宮外苑で

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 長い手足をゆったりと振りながら、前田がすっと前に出た。20キロ付近。後ろについていた2位鈴木との差が、じわじわと広がっていく。「仕掛けたつもりはなかった」。素っ気ない言葉と同じように淡々と、マイペースを貫いて大一番を制した。

 優勝候補と目された鈴木と松田は、トラックで培ったスピードが持ち味。ラストの競り合いを避けるべく早めに動いたのかと思いきや、そうではないようだ。

 「どこで行けという指示はしていない。自分のリズムで走るように言った」と天満屋の武冨豊監督。

 立ち上がりで一山麻緒(ワコール)が飛び出しても、先頭に立ってからも、中盤までは1キロ3分20秒前後のラップを刻む。50キロのクロスカントリー走で強化した足腰は細かいアップダウンにも音を上げず、気付けば独走になっていた。

 大阪の薫英女学院高時代は全国高校駅伝で3年連続の補欠。決して目立つ存在ではなかったが、取り組む姿勢は「昔からずばぬけていた」(武冨監督)という。50分のジョギングを指示しても、必ず1時間は走る貪欲さがあった。

 2017年にMGC出場権をいち早く取ってから、国内外で3本のマラソンを経験し、たどり着いたのが周囲に左右されない走り。海外勢が揺さぶってくる五輪本番を見越した戦い方でもある。夏場のレースながら「最後まで不安なく走れた」と2時間25分台で駆け抜けた。リオデジャネイロ五輪の勝者が24分台だったことを考えると、世界で戦えるだけの力は秘めている。 (佐藤航)

<まえだ・ほなみ> 2017年の大阪国際が初マラソン。2レース目だった同年8月の北海道を2時間28分48秒で走って制し、女子で最初にMGC出場権を獲得した。18年の大阪国際は自己記録を5分更新する2時間23分48秒で2位に入った。大阪薫英女学院高出。天満屋。兵庫県出身。166センチ、46キロ。23歳。

◆鈴木死守 動かぬ足、前へ

2位でゴールする鈴木亜由子

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 2度目のマラソンながら、狙い通り代表の座を射止めた。昨年8月の北海道マラソン以来のレースとなった鈴木。30キロを過ぎた口元は余裕を漂わせて見えたが、それは何とか2位を死守した証しだった。「苦しくなると笑っているように見える。一番つらい10キロだった」

 潮目が変わったのは20キロ付近。ともに先頭集団を率いた前田に引き離される。ペースを守り、後半の追い上げをイメージした。だが、25キロを過ぎて「足が重たくなった。何とか粘るしかない」と断念。2位までで得られる五輪切符の確保に専念した。同じく夏場だった初マラソンは後半の独走で制したが、優勝候補と目された今回は終盤で足が動かなくなり「怖さを知った」。

 前半には一山に飛び出され、前田とは4分弱の差をつけられた。日本郵政グループの高橋昌彦監督は「最初から速いペースで行くような練習はしていかなければ」と本番までの強化策を思い描いた。

 トラックで何度も世界の舞台を経験した27歳。東京五輪では初めてマラソンの代表として猛者に挑む。「身の引き締まる思い。ハイペースで押して、サバイバルレースを勝ち抜く強い精神力と体をつくりたい」と鈴木。スピードと持久力の底上げを誓った。 (永井響太)

<すずき・あゆこ> 全国中学校体育大会の800メートルと1500メートルを2年時に制覇。愛知・時習館高から名古屋大に進み、13年ユニバーシアード1万メートルで金メダル。14年に日本郵政グループ入社。リオデジャネイロ五輪は故障で1万メートルを棄権、5000メートルは予選敗退。昨年8月に初マラソンだった北海道で優勝した。愛知県出身。154センチ、38キロ。27歳。

◆小原僅差 「首の皮一枚つながる結果」

 2位とは4秒差。3位の小原は僅差で今大会での代表内定を逃した。2016年の名古屋ウィメンズで、2位と1秒差でリオデジャネイロ五輪の代表に届かなかった経験から「またやらかした。日々の練習不足」と苦笑した。

 レース途中から足の痛みに耐えながら「どうにでもなれ」と気力で足を動かしたという。残り2キロの上り坂で前を行く鈴木を猛追。わずかに及ばずゴール後に倒れ込んだ。

 代表の残り1枠は国内指定3大会の結果次第。五輪代表につながる順位に小原は「首の皮一枚つながる結果。世界と戦えるタイムと力を追求したい」と前を向いた。 (永井響太)

 

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