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【スポーツ】

巨人一丸 5年ぶりV 育成出身・増田大、千金決勝打

5年ぶりのリーグ優勝を決め胴上げされる巨人・原監督=横浜で

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◇巨人3−2DeNA

 セ・リーグは21日、優勝へのマジックナンバーを「2」としていた巨人がDeNAに延長十回、3−2で勝ち、5年ぶり37度目の優勝を決めた。1リーグ時代の9度を含めると46度目。今季から巨人で3度目の指揮を執る原監督にとっては通算8度目の優勝となった。

 今季は6月に首位に立つと一度もその座を譲らなかった。8月上旬には一時2位のDeNAに0・5ゲーム差にまで迫られたが、投打のバランス良く、白星を重ねて振り切った。

 日本シリーズ進出を争うクライマックスシリーズ(CS)は10月5日に開幕し、巨人は9日からのファイナルステージでファーストステージの勝者と対戦。2012年以来、23度目の日本一を目指す。

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 巨人が終盤の粘りで逆転勝ち。1−2の九回2死無走者から連続四球と小林の適時打で追い付き、延長十回2死一、三塁から増田大が適時打を放って勝ち越した。DeNAは乙坂の2ランで先行したが、救援陣が踏ん張れなかった。

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 前回の優勝は2014年。その時も決めたのは横浜スタジアムだった。あれから5年。三たび巨人の指揮を執ることになった原監督が8度、宙に舞う。「年を取ると涙腺が弱くなる。非常に長い時間だった」。率直な思いを吐露するその両目は、涙でいっぱいだった。

 試合を決めたのは増田大だった。同点の延長十回2死一、三塁。「監督から真っすぐだけを狙っていけ、と」。三嶋の低めの152キロをたたきつける。大きく弾んだ打球は二遊間を抜けた。値千金の勝ち越し打に、育成出身の26歳は「何とも言えない喜び」と感慨に浸った。

 一度は土俵際まで詰められた。1点を追う九回は簡単に2死。だが、ここから粘った。DeNAの山崎から連続四球を選び、一、二塁とし、小林が同点の右前打。この一打で流れは完全に傾いた。

 原監督が言った。「固定観念を捨てて、どうやったら強くなるか、どういうチームなら勝てるか、その一点に集中してやってきた」。小林も増田大もともに途中出場。昨秋の就任以降「誰にでもチャンスがある」と競争をあおった指揮官の狙いは、優勝を決める大一番で見事に結実した。

 3月29日、広島で零封負けを喫して始まったシーズンは秋風の吹く横浜で大団円を迎えた。だが、物語は終わりではない。「まだまだ道は険しいが、大きな目標は持っている」。視線の先に見据えるのは7年ぶりの日本一。一丸で突き進む。 (中川耕平)

◆長嶋元監督が祝福「歴史の中でも格別」

 巨人の長嶋茂雄元監督は21日、球団を通じて「本当によくやってくれた。愛するジャイアンツが優勝したというのに、うれしさが込み上げて月並みな言葉しか出てこない」とコメントし、5年ぶりのセ・リーグ優勝を祝福した。

 昨年体調を崩し、入院してからは公の場に姿を見せる機会が減ったが、巨人戦はほとんどテレビで観戦したという。久々のリーグ制覇に「これまでの優勝とはまるでちがう。ジャイアンツの歴史の中でも格別なもの」と喜びに浸った。

 復帰1年目で栄冠をつかんだ原辰徳監督の手腕については「よくぞ、ここまでチームをまとめて導いてくれた。“原野球”を確立したのではないか」と絶賛した。

◆復帰の原監督 勝負に徹する

 百戦錬磨の指揮官は春先から勝利を渇望する姿勢を鮮明にした。3月30日、開幕2戦目のマツダスタジアム。4−2の九回無死一、二塁で原監督は打席の坂本勇に送りバントのサインを出した。「2番・坂本勇」は今季の攻撃型打線の象徴だ。広島を一気に突き放すのであれば、強攻策でもおかしくない。だが、主将は2季ぶりの犠打を記録し、貴重な追加点を呼び込んだ。

 試合後、原監督が事もなげに言った。「最善策」。目の前の試合を勝つためには自身が打ち出した戦い方にも固執せず、戦況を柔軟に分析して、勝負に徹する。5年ぶりにリーグの頂に立った要因は、その一点にたどり着く。

 丸や岡本、ゲレーロにもためらわず送りバントを指示した。「われわれはチームで戦っている。1軍、2軍の選手全てが戦力」。経験の浅い若手も厳しい勝負の荒波にもまれる中で戦力になるべく積極的に起用した。勝機と見るや、早い回から次々と代打を送ることも珍しくなかった。

 広島時代から猛練習を誇る丸の加入も大きかった。リーグ3連覇を知るストイックな強打者は周囲を突き動かした。春季キャンプでは岡本が「全てが見本になる。丸さんより打てない僕はもっと練習しないと打てないと思ってやっている」と負けじとバットを振った。試合中、打席での気付きをすぐさまノートに記す丸を中心に、相手投手の特徴をベンチ内で共有する光景は昨季までは見られなかった。

 昨年10月、4年ぶりに現場復帰が決まり、原監督は「勝つことが最大の目標。巨人軍は『個人軍』であってはならない」と強調した。選手たちは今季、何度も口にした。「負けられない」「負けたくない」。ナインは常にチームが勝つために何ができるかを考え、自らの役割に徹した。還暦を迎えた“若大将”の卓越した采配が、「常勝」を宿命づけられた球界の盟主に、伝統のチームスピリットを呼び覚ました。 (中川耕平)

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