東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > スポーツ > 紙面から > 9月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【スポーツ】

<ラグビーW杯>再起の釜石、世界へ 復興スタジアム きょう熱戦 

 ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会は25日、釜石鵜住居(うのすまい)復興スタジアムでフィジー対ウルグアイ戦が行われる。舞台の岩手県釜石市は、日本選手権を7連覇して「北の鉄人」と呼ばれた新日鉄釜石ラグビー部を生んだ街。そして、東日本大震災で1000人以上の死者・行方不明者を出した被災地。準備を進めてきた地元の関係者は、全国からの復興支援や共に歩んできた被災者への感謝を胸に、世界のラグビーファンを迎える。 (吉光慶太、海老名徳馬)

◆新日鉄の元日本代表/誘致に力旅館おかみ

復興スタジアムに立つ桜庭吉彦さん=ともに24日、岩手県釜石市で

写真

 「震災の時の支援に恩返しをしたい。その一番の形がボランティアだと思う」。新日鉄釜石を前身とするクラブチーム「釜石シーウェイブス(SW)」のゼネラルマネジャー桜庭吉彦さん(53)は、そんな思いで25日は入場ゲートに立って来場者をもてなす。

 V7直後に新日鉄釜石ラグビー部に入った。ポジションはロック。日本代表としてW杯にも3大会出場した。震災時は現役を退き、SWのチームディレクターだった。

 選手たちは震災時、物資の運搬を手伝ったり、避難所の子どもたちにラグビーを教えてストレスの軽減を図ったりした。2カ月ほど続けると、被災者から「もういいから、ラグビーをやってくれ」と言われるようになった。「自分たちができるのはラグビー。それをみんなが前向きになる活動としてやらせてもらった」。桜庭さんにとってのW杯は、釜石への恩返しの場でもある。

 「今でも仮設住宅で暮らす人もいる。そんな中でのW杯をよく思ってない人もいる。そうした人たちにとっても、今回の大会の思い出が未来につながっていけばいい」

 会場に近い旅館「宝来館」おかみの岩崎昭子さん(63)は震災の2カ月後、旅館を訪れた元日本代表選手に「日本でW杯がある」と声をかけられた。「だったら釜石でやってけれ」。思わず声を上げていた。がれきで埋め尽くされた街に生まれた大きな目標に、「灰色だけの世界に光が見えた気がした」。積極的に誘致活動に参加し、いよいよ夢舞台を迎える。「ラグビーの試合のように、多くの人がそれぞれの役割を果たしてきたからW杯につながった」

 旅館では被災時の状況や復興の歩みを紹介している。「W杯は空の上に行ったみんなからのプレゼント。多くの人に試合を見てもらって釜石の思いが広がれば」と期待を込め、「3・11」から始まった物語をこれからも語り継ぐ。

旅館前の海を見つめる岩崎昭子さん

写真
 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報