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【スポーツ】

<ラグビーW杯>未来へ 「W杯の釜石」始動 復興スタジアム、節目の熱戦

試合前、両国の国旗を振る釜石市の小学生=いずれも25日、岩手県釜石市の釜石鵜住居復興スタジアムで

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 支援への感謝の気持ちを、世界に届けた。東日本大震災で被害を受けた岩手県釜石市で二十五日、ラグビー・ワールドカップ(W杯)日本大会のフィジー対ウルグアイの試合が行われた。澄み渡った青空の下、スタンドには大漁旗がはためき、関係者や子どもたちが特別な一日を楽しんだ。 (海老名徳馬)

試合前、観客とともに黙とうをささげるフィジー(左)とウルグアイの選手

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 被災地でW杯の試合が行われるのは釜石だけで、会場の釜石鵜住居(うのすまい)復興スタジアムは、津波で全壊した小中学校の跡地に建てられた今大会唯一の新設会場。市内の全小中学生、約二千四百人が招待された。

 試合前には、復興支援への感謝を伝えるために子どもたちから歌詞を募った「ありがとうの手紙」を大合唱。「ありがとうの言葉だけじゃこの想(おも)いは伝えきれないよ」「あたたかい気持ちは絆となって釜石の町にたくさんの希望が生まれたよ」と声を張り上げた。選手がピッチに並ぶと、会場全体で震災の犠牲者に黙とうをささげた。

 客席ではファンや市民らが声援を送った。クラブチーム「釜石シーウェイブス」の選手の体調管理などに携わる医師の土肥守さんは「釜石がラグビーの町なのは新日鉄釜石の七連覇があったからだが、これからはW杯を開いたからになる。子どもたちには、釜石はすごいという気持ちを持ってほしい」と願いを込めた。

 震災直後から誘致の先頭に立った「スクラム釜石」の代表で新日鉄釜石の元選手の石山次郎さんも、笑顔があふれる光景に「子どもたちがはしゃいでいて、いい表情だった。初めて会う人たち同士が打ち解けて楽しんでいるのがうれしかった」と感慨深げだった。

◆選手ら「光栄、特別なこと」

 選手たちも被災地での試合に特別な意識を持って臨んだ。ウルグアイのガミナラ主将は「ここにいられるのが光栄。ホテルの方を始め、大変なことがあったのが信じられないくらいに素晴らしい協力をしてくれた」。日本人の少年がスペイン語でウルグアイ国歌を歌っていたのが強く印象に残ったといい、「われわれのために覚えてくれていた。日本の人たちにお礼を言いたい」と感謝した。

 フィジーの選手は、初戦から中3日の強行軍にもかかわらず、前日には岩手県宮古市の震災遺構「たろう観光ホテル」を訪問。「この町で何が起きたのかは学んで理解している。試合ができるのは特別なこと」とワンガニンブロトゥ主将は神妙な表情だった。

 フィジーのマッキー監督は視察でたびたび釜石を訪れてきた。「最初に来たときは感情的になった。これだけ再開発されたのは素晴らしい」と復興をたたえ、「選手が地元の人とコミュニケーションを取るのは大事」と被災地で過ごした時間の意義を強調した。

◆秋篠宮ご夫妻 観戦

 岩手県を訪問中の秋篠宮ご夫妻は二十五日、フィジー対ウルグアイ戦を観戦された後、新幹線で帰京した。

 

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