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【スポーツ】

<ラグビーW杯>耐えて前へ 突破 出場9度、新たな扉

日本−スコットランド スコットランドに勝利してベスト8進出を決め、喜ぶ日本選手=13日、日産スタジアムで

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 桜のフィフティーンが、新たな扉を開いた。ラグビーのワールドカップ(W杯)日本大会で十三日、初のベスト8進出を果たした日本代表。倒されても倒されても楕円(だえん)球を大切に運び、トライにつなげた姿は、何度も世界の強豪にはね返されながら、ついに偉業を達成したチームの歩みに重なった。台風19号で困難な状況に陥っている被災者へも、勇気を届ける勝利になった。

 日本は一九八七年の第一回大会からW杯に九度連続で出場してきたが、二〇一五年大会で躍進するまで過去に挙げた白星はわずか一つ。勝利すら困難だった。

 SH田中史朗選手(34)=キヤノン=は初出場だった一一年の前々回大会で一分け三敗の屈辱を味わった。「まじで覚えていない」とショックで記憶が抜け落ちていた。主将のリーチ・マイケル選手(31)=東芝=も一一年大会で悲哀を味わった。母国ニュージーランド開催だったが「多くの人に『日本はやっぱり弱い』とばかにされた」。堀江翔太選手(33)=パナソニック=は、帰国した成田空港で待っていた記者が数人だけという光景が忘れられない。「結果を残さないと何も残らない」と痛感。一五年大会からW杯のピッチに立つ稲垣啓太選手(29)=同=は、田中選手らの話を聞き、「積み重ねの末に今がある」と考えさせられた。

 勝てないまま日本代表を退いた先人の思いも背負っていた。そして、ついに世界の8強の座をつかんだ。

 ジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチは試合前のロッカールームで、台風19号の甚大な被害について選手に伝えたといい、「タフな時間帯にそのことを思い出した。最後まで諦めない心でやりきることができた」。代表初トライを挙げた稲垣選手は「ラグビーで元気を取り戻していただきたい」と喜びも控えめに語った。日本代表の戦いぶりは自然災害にも立ち向かう日本の思いも体現していた。 (対比地貴浩)

◆「勇気になる」ファンが喝采

 全国のラグビーファンが「ニッポン」コールで日本代表の快挙を後押しした。愛知県豊橋市から観戦に来た会社員藤田兼斗さん(27)は「選手には被災した方を勇気づけるプレーを」と願い、声をからした。

 前半、台風被害の大きかった新潟県出身で「被災した方々に元気を取り戻してほしかった」と臨んだ稲垣選手が代表初トライで勝ち越すと、六万七千六百六十六人が詰め掛けたスタンドは歓声に包まれた。

 終盤のラスト十秒からは勝利のカウントダウンが響き、ノーサイド。英国で行われた前回W杯を観戦した東京都府中市の会社員黒田光一さん(40)は「悲願だった8強進出がかなってうれしい」と大興奮。東京都武蔵野市の会社員那須孝さん(30)と妹のみなみさん(28)も「歴史的な場面に立ち会えた。チャレンジャーとして日本の意地を見せつけてほしい」と躍進を期待した。 (丸山耀平、原田遼)

◆釜石での試合中止

 W杯日本大会組織委員会は十三日、台風19号の影響で、岩手県釜石市の釜石鵜住居(うのすまい)復興スタジアムで開催予定だった一次リーグB組のナミビア−カナダを中止にすると発表した。今大会の中止は三試合目。試合は引き分け扱いとなり、チケットは全額返金される。

 

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