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【スポーツ】

<ラグビーW杯>この仲間、誇り 「下向く必要ない」「あきらめない姿全員で」

試合後、スタンドのファンの前で記念撮影する日本代表の選手とスタッフ=20日、味の素スタジアムで

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◇日本3−26南アフリカ

 挑戦を終えた桜のフィフティーンは、ピッチで大きな円陣をつくった。「下を向く必要はない」。主将のリーチ・マイケル選手が仲間に語りかける。ラグビーのワールドカップ(W杯)日本大会で二十日、東京都調布市の味の素スタジアムで初めての準々決勝を戦った日本代表。4強進出はならなかったが、選手の表情には充実感がにじんでいた。(比地貴浩、平井良信)

 試合前に「君が代」を歌う流大(ながれゆたか)選手(サントリー)の目に涙が浮かんでいた。「いろんなことがフラッシュバックした(脳裏をよぎった)」。この試合を戦える喜びがあふれていた。

 四年前の前回大会で大金星を獲得した南アフリカは強かった。スクラムの最前線で体を張った具智元選手(ホンダ)は「相手は重くてスピードもあり、後半は受けに回ってボールも回された」。今大会、何度もスタジアムを沸かせてきた日本の攻撃は爆発しなかった。

 世界中を驚かせてきた日本の躍進が止まった。それでも観客席からは万雷の拍手。リーチ主将は「歴史をつくれたのは監督、ファンのおかげ」。スタンドに向かって他の選手より一歩前で頭を下げ、敗れはしたが右の拳を突き上げるガッツポーズで声援に応えた。

 計4トライを奪った福岡堅樹選手(パナソニック)は医師を目指すためW杯は最後。「これまでやってきたことを全部出し切った結果。世界中にこれが日本代表だと誇れるそういうチームができたと思う」と涙を流した。三度目の出場で、勝てなかった時代を知る堀江翔太選手(パナソニック)は「最高のチームでした。最後まであきらめない姿は全員が持っていた。これからは若い人たちが頑張ってくれれば」と次世代にエールを送った。

 子どもたちをピッチに招き入れ、最後のW杯の空間を味わった選手たち。地元の大舞台で大躍進し、最後まで泥くさく戦って、笑顔でピッチを去った。

◆松島「もう少しやりたかった」

 準々決勝でも快足ウイングが躍動した。南アフリカ戦で活躍を見せた松島幸太朗選手(26)=サントリー。「終わってほっとした気持ちもあるが、もう少しやりたかった」。高級スポーツカーにもたとえられるスピードは、子どもの頃から周囲を驚かせてきた。

 「絶対に日本代表になる」。松島選手が中学二年冬に加入した東京の「ワセダクラブ」でコーチだった今田圭太さん(37)は、練習で受けた衝撃を忘れない。弾むような走りで「ステップを切ると目の前から消える」。一人でトライできるため他の選手の練習にならず「幸太朗にパスしないで」と指示するほどだった。

 東京選抜チームでは五十メートルの独走トライを決めた。同期の竹中祥選手(27)=NEC=は「すごい外国人が来たと。友人がおそるおそる英語で話し掛けたら、日本語で返されてずっこけた」と懐かしむ。

 ずばぬけたスピードはW杯での活躍につながり、ここまで全チームでトップタイの5トライを挙げた。南アフリカ戦ではトライは奪えなかったが、守備で魅了。ピンチに俊足で相手選手に追いつきトライを防いだ。「準々決勝に進出できたのは自信につながった」。その健脚は最後まで輝きを放った。 (対比地貴浩)

 

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