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【スポーツ】

井上尚、世界の頂点に ボクシング WBSSバンタム級決勝

11回、ノニト・ドネア(左)を攻める井上尚弥=さいたまスーパーアリーナで

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 ダブル世界戦各12回戦が7日、さいたまスーパーアリーナで行われ、ワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)バンタム級決勝で世界ボクシング協会(WBA)、国際ボクシング連盟(IBF)王者の26歳、井上尚弥(大橋)がWBA同級スーパー王者で36歳のノニト・ドネア(フィリピン)を3−0の判定で下し、優勝した。

 井上尚はドネアと果敢に打ち合い、11回に左ボディーでダウンを奪った。WBAは3度目の防衛に成功し、スーパー王座を獲得。IBFは初防衛を果たした。戦績は19戦全勝(16KO)、ドネアは46戦40勝(26KO)6敗。

 世界ボクシング評議会(WBC)同級王座統一戦では暫定王者で井上尚弥の弟の23歳、井上拓真(大橋)が正規王者で33歳のノルディーヌ・ウバーリ(フランス)に0−3の判定で敗れた。

 序盤から劣勢だった井上拓は最終回に猛攻を仕掛けたが、及ばなかった。戦績は14戦13勝(3KO)1敗、ウバーリは17戦全勝(12KO)となった。

 いのうえ・なおや 神奈川・相模原青陵高時代にアマチュア7冠。12年10月プロデビュー。14年4月にWBCライトフライ級王座獲得。同年12月に世界ボクシング機構(WBO)スーパーフライ級王座を奪取。7度防衛後に王座返上。昨年5月にWBAバンタム級王座に就き、世界3階級制覇。右ボクサーファイター。26歳。神奈川県出身。

◆死闘判定で制す

 12回終了のゴングを聞くと、井上尚は優しい笑みを浮かべ、ドネアと抱き合った。勝ち名乗りを受けても喜びを爆発させることはない。それが死闘を物語る。3年半ぶりの判定。憧れのボクサーを相手に力を出し切った。緊張感あふれる闘いを制し、バンタム級最強を示すWBSS優勝。しかも世界的ビッグネームを倒しての栄冠。時代が動き、2万人超の観客が沸いた。

 「ドネア選手と決勝で闘えたことは、キャリア一番の経験だと思う。期待された結果(KO)ではなかったが、世代交代になった。こういう結果を出せてよかったと思う」

 序盤から質の高い攻防が続いた。互いにカウンターを警戒しながら、それでも手数は出る。2回にドネアの左フックをもらって井上尚が右目付近を切ると、以降は「12ラウンドまでドネアが二重に見えていた」。アクシデントにも動じず、5回にはラッシュでドネアをぐらつかせた。

 7回からは「もう、右目がふさがって見えていなかった」。倒すボクシングから作戦を切り替え、判定勝ち狙いへ。だが、ここが「モンスター」と呼ばれるゆえん。11回。右のアッパーで体をのけぞらせると、強烈な左ボディー。世界5階級制覇王者はリング上を数歩歩いた後、耐え切れずに膝から崩れ落ちた。

 井上尚にとって36歳のドネアは「高校時代からの憧れ」という特別な存在。2014年には指導を仰いだこともある。ドネアの代名詞となる左フックは何度も映像で確認し、反復練習。いまや井上尚の得意パンチになっている。

 ドネアから井上尚へ。新時代が幕を開けた。プロ19戦目で初めて経験した苦しい闘いは、また一つ王者を成長させるに違いない。まだ、26歳。これから全盛期を迎える井上尚の時代はしばらく続くだろう。 (森合正範)

<ワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)> 異なる団体の世界王者ら8人で争うトーナメント。欧米のプロモーターが創設し、2017年の第1回は賞金総額50億円を超え、スーパーミドル級など2階級で実施された。第2回は昨年10月にスタートし、井上尚弥のバンタム級など3階級。優勝者には伝説の世界ヘビー級王者の名を冠したムハマド・アリ・トロフィーが授与される。

 

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