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【スポーツ】

トンボに託す 東京への道 パラ卓球71歳・別所 けが、病気続き苦境

再浮上への思いをトンボの髪飾りに託す別所キミヱ=兵庫県明石市で

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 2016年のリオデジャネイロ・パラリンピックに日本選手団最年長で出場した卓球車いすクラスの別所キミヱ(71)=ドマーニ卓球クラブ=が、5大会連続となる来年の東京大会出場を懸けた戦いで苦境に立たされている。昨年から交通事故やけが、病に見舞われ、コンディションが整わないためだ。トレードマークのチョウの髪飾りで知られる大ベテラン。「厳しくても諦めてはいない」。自らを奮い立たせ、再浮上を期す。 (兼村優希)

 「東京目指して頑張ってと言われるけど道は険しい」。切実な口ぶりには訳がある。

 昨年は不運続きだった。8月に横断歩道で車にはねられ、右の利き腕を負傷。9月にはその事故からのリハビリ中に右膝を骨折。さらに翌月、再び交通事故に遭い、首を痛めた。2日後には世界選手権への出発が迫っていた。欠場を余儀なくされ、世界ランキングを上げる好機を逸した。

 復帰した今年も苦難は続く。7月に帯状疱疹(ほうしん)になり、8月には宿泊先で転倒して座骨骨折。10月は骨がくっつかないまま国際大会に挑まざるを得なかった。東京大会出場には、来年3月末の世界ランクで上位に入る必要がある。現在8位。何位なら出られるのか現時点で見通せないが、「今のままでは東京は無理」という。

 心機一転したい−。そう考えていたとき、知人との雑談でトンボが話題に。「どんな木でもてっぺんにしか止まらない」。そう教えられ、心に刺さった。早速、髪飾りを手作りし、幸せを呼ぶとされるチョウに加え、来年から身に着けて試合に臨む。

 30年近く前、骨盤の希少がんで大手術を受け、両足にまひが残る。パラリンピックは04年アテネ大会から出場。68歳で挑んだ前回リオ大会はシングルス(車いす5)で5位に入った。

 1964年東京大会のときは高校生。教室の白黒テレビで「東洋の魔女」の奮闘を見守った。あれから55年。同じ舞台に立てるかどうか、瀬戸際にいる。「自分も行ければすごい。でも簡単じゃない」と現実を見る。

 メークが好きで、髪は編み込み。その意図は「敵を編み込み(取り込み)、チョウのように惑わせる」。2020年は勝負の年。チョウのように舞い、トンボのように頂点を目指す。

2016年のリオデジャネイロ・パラリンピックで、チョウの髪飾りを編み込みに着けて試合に臨んだ=リオデジャネイロで(田中久雄撮影)

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