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【スポーツ】

<東京2020>五輪・パラ目指し 心つなぐラリー ペルーでバド選手を育成

コーチ席からペルー選手の試合を見つめる安念幸恵さん(中)=東京都渋谷区の国立代々木競技場で

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 東京五輪・パラリンピック出場を目指すバドミントンのペルー選手を現地で指導する日本女性がいる。青年海外協力隊として派遣された昨年七月以降、練習相手を務めている安念幸恵さん(32)。十一月に東京都内であったパラバドミントンの国際大会に出るため選手とともに一時帰国し、コーチ席に座った。協力隊の任期は五輪開幕前に切れるが「東京大会で選手たちと再会する」と思い描き、挑戦を支える。 (兼村優希)

 国際大会は東京パラリンピックのテストを兼ねて国立代々木競技場で開かれた。安念さんは四人のトップ選手を引率。事前練習で義足の男子選手と予定を一時間オーバーしてシャトルを打ち合った。笑顔で汗を拭い「一打一打を気にし、やりたい、やりたいと言うので付き合いました」。試合中は簡単な英語で選手に声を掛け、拍手で鼓舞した。

 二〇一五年までの十七年間、山口県の実業団チームなどでプレー。社会人の全日本選手権で混合ダブルス三位になったこともある。引退後、チームの母体の銀行で働いていると、窓口業務などで人と接する仕事が楽しくなり、三十歳を前に「もっといろんな人と出会いたい」と海を渡る道を探った。大学時代の恩師から協力隊を紹介され、「軽い気持ち」で応募。十カ国ほどの候補から、代表選手の練習相手を求めていたペルーに赴任が決まった。

 指導経験はなく、語学も堪能ではない。大切にしたのは、身ぶり手ぶりのコミュニケーション。「ラケットの振り方は体で覚えてもらった」。首都リマの強化拠点で週六日、午前六時半からの朝練に始まり、夜十時ごろまでシャトルを受けた。障害の有無や世代を問わず、さまざまな選手のパートナーを務めた。

 当初は選手と「距離があった」そうだが、必死に意思疎通する姿勢が通じたのか、徐々に心を開いてくれた。男性コーチが多い中で「特に女子選手が頼ってくれる」という。

 国際大会ではペルー選手は振るわず、東京パラリンピック出場に前進するポイントは取れなかった。「再会」がかなうかどうかは、ポイントを稼げる残り三大会の結果次第。「これから一戦一戦が大切になる」。任期が終わる来年七月まで、気の抜けない戦いが続く。

<あんねん・さちえ> 富山県砺波市出身。高岡龍谷高、龍谷大を経て、山口県の西京銀行を母体とした実業団チーム「ACT SAIKYO」に所属し、日本リーグなどで活躍。

 

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