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【スポーツ】

マラソン選考 底上げ効果

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 東京五輪のマラソン代表選考が終わり、男女6選手が出そろった。日本陸上競技連盟は2017年に「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)」を含む一連の新方式を導入。たびたび選考に絡む物議を起こしてきた従来に比べ、順位や記録など明確な基準を示したことで透明性は増した。男子は3回の日本記録が生まれ、女子も20年に入って好記録が連続して誕生。長年課題だった選手層の底上げで一定の成果を上げ、日本陸連マラソン強化戦略プロジェクトの瀬古利彦リーダーは「五輪で優勝、メダルを取らないと本当の意味で成功したとはならない。これからが本当の真価」と見通した。

◆男子 序盤から攻め好記録連発

 日本陸連の坂口泰・男子マラソン五輪強化コーチは「代表の3人は勝ち抜いた選手たち。本当のベストメンバーがそろった」と胸を張った。

 三者三様の特長があり、バランスもいいという。「中村君はすごく冷静で勝負どころを分かっている。服部君はまだ発展途上。潜在能力と伸びしろがあって、どこまで伸びていくのか分からない。大迫君は速さとともに、勝負強いプロのレースができる」

 この2年半の実りは多い。日本記録が3度更新され、日本歴代10傑のうち六つが塗り替わった。MGCの7位までが28歳以下で、若手が主力へと育っていった。その中でも坂口コーチが最も大きな収穫として「心理的な壁が取れたこと」を挙げる。

 これまでは終盤のことを考え、慎重になる傾向が強かった。「記録が設定されているから(序盤から)行くしかない。それで突っ込んでみたら大丈夫だった。この経験はすごく大事で今後にも生きる」

 序盤から果敢に攻め、ハイペースを刻む日本勢は多くなり、1日の東京マラソンでは2時間5分29秒の大迫をはじめ、2時間6分台は2人、2時間7分台は7人と好記録が相次いだ。

 当初はMGCシリーズを経て、MGCで代表3人を決める一発選考の案があった。だが、スポンサーの意向もあり、3枠目として記録を追い求めるファイナルチャレンジを設けた。「勝負で2人、記録で1人。結果的に大成功。代表だけでなく、他の選手も成長できる制度だった」と坂口コーチ。仕組みの妙から生まれた好循環。心の変化をもたらす大きな効果があった。(森合正範)

◆女子 最後1枠高次元争い

 大阪国際女子で松田瑞生(ダイハツ)が出した2時間21分47秒を、42日後の名古屋ウィメンズで一山が上回る。女子のMGCファイナルチャレンジは、まさに新方式の仕組みをつくった日本陸連の狙い通り、高次元の記録で競り合う展開になった。

 昨年9月のMGCでは、五輪本番のように暑い中で勝てる「強い選手」を決めた。残る1枠は、名古屋や大阪などのファイナルチャレンジで一番速かった選手を代表に決定。タイプの違う選手をそろえ、アフリカ勢に挑む態勢が整った。

 「ケニアやエチオピア勢を見ていれば、スピードの必要性は当然感じている」。日本陸連の河野匡・長距離・マラソンディレクターが言うように、海外では2時間10分台も珍しくなくなってきた。日本勢もスピードを底上げしなければ戦えないのは明白。そういう意味で、22歳の一山の快走が女子マラソンの復権へ光明になったのは間違いない。

 松田は大阪、一山は名古屋で、格上のアフリカ勢を大きく引き離して優勝を果たした。その2人にMGCで勝った前田と鈴木にとっても、「非常に心強い結果になったんじゃないか」と河野ディレクターは期待する。

 日本記録の更新が相次ぐ男子と比べて選手層が薄く、若手の突き上げも乏しかった女子マラソン。2000年シドニー五輪を制した高橋尚子さん、04年アテネ五輪金メダルの野口みずきさんらが割拠した時代のように、競争が全体のレベルを上げる、いい流れに入りつつある。 (佐藤航)

<東京五輪のマラソン代表選考> 男女ともに3枠。2017年夏から19年春までに行われた国内指定大会「MGC(マラソングランドチャンピオンシップ)シリーズ」で日本陸連が定めた条件を満たした選手が代表選考会「MGC」への出場権を得た。19年9月にMGCは実施され、男女2位までが代表に決まった。残り1枠は今年3月までの国内指定大会「MGCファイナルチャレンジ」で、日本陸連が設定した記録(男子2時間5分49秒、女子2時間22分22秒)を突破した最速の選手が代表になった。

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