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【スポーツ】

<延期の衝撃 東京2020>(1)「1年先」 代表選考混乱 ボート・中止/柔道・不透明/競泳・一転中止

 東京五輪・パラリンピックの1年程度の延期が決まり、地元開催を心待ちにしていたアスリートや競技関係者に衝撃が走った。新型コロナウイルスの感染拡大が招いた近代五輪史上初めてとなる異例の事態。慌ただしい再スタートを余儀なくされた現場の混乱を伝える。 (運動部取材班)

 延期決定から一夜明けた25日。東京都内で会見した日本オリンピック委員会(JOC)の山下泰裕会長は苦しい胸の内を吐露した。

 「1年間延期は(選手選考について)各競技団体はかなり悩む。仮に選考を白紙に戻す競技団体が出てきた場合、幻(の代表)で終わる可能性がないわけではない。これからどうするか。各競技団体が早急に進めていく。われわれはそれを尊重する」

 重い言葉は今回の代表選考の難しさを裏付ける。今週末のボート、4月上旬には競泳、柔道と代表選考会が控えている。各競技団体は対応に追われた。

 出場枠の獲得を目指す日本ボート協会は、軽量級ダブルスカルの代表候補を決めるレースを28日から熊本県で予定していた。既に現地入りしていた長畑芳仁強化委員長は25日午前、強化委メンバーと急きょ電話で対応を協議し、「選考会をやる目的がなくなった」と中止を決断した。現地で合宿していた男女8選手にその場で伝え、合宿も取りやめた。

 相浦信行事務局長は「これまでJOCや組織委員会が予定通りにやると言っている以上、その前提で動くしかなかった」と複雑な表情だった。

 柔道は来月4、5日に全日本選抜体重別選手権(福岡)が行われる。男女14階級で代表が唯一決まっていない男子66キロ級の最終選考会。丸山城志郎(ミキハウス)と阿部一二三(日体大)の新旧世界王者対決が注目されている。

 全日本柔道連盟(全柔連)の中里壮也専務理事は延期の決定に驚きを隠さなかった。「まさか、それはないだろうと思っていた。現段階では、最終選考会は予定通り。今のルールにのっとってやる」

 だが、この選考会の勝者が2021年の東京五輪に出場できるかは不透明だ。金メダル量産が期待される柔道。全柔連の中には1年で勢力図は変わるという見方がある。「内定者をそのまま代表に」「選考会を一からやり直し」「(内定者を優遇する)折衷案」の三つの案が交錯している。

 中里専務理事は「しっかり議論して、みんなが納得する案を作る。慎重に協議していきたい」と頭を悩ませる。

 対応が一転したのは、競泳の日本選手権(来月2〜7日、東京アクアティクスセンター)だ。日本水泳連盟は常務理事会を2日前倒し、25日午後5時から対応策を協議。「選手、指導者の強い要望から、選考会でいく」(坂元要専務理事)と、1年以上先になった五輪の代表選考会として予定通りの実施を一度は決めた。

 その後、東京都の小池百合子知事が今週末の不要不急の外出を控えるよう都民に要請したため、決行の判断を撤回。大会中止を決めた。日本水連は「(選手を含む関係者が)1000人単位と人数が多く、より感染の危険性が高い」と判断したといい、代表選考方法は今後改めて議論することになった。

 前例のない1年延期。ボート、柔道、競泳の代表選考会は中止、不透明、方針転換とさまざま。競技団体は混乱の中、それぞれが模索しながら、前へ進もうとしている。

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