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【栃木】

那須雪崩きょう2年 高1で犠牲 募る喪失感 「息子の成長 想像できぬ」

那須町の雪崩事故で亡くなった奥公輝さんの遺影の前で、卒業証書を手にする父勝さん

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 高校一年のとき、雪崩事故で亡くなった奥公輝(まさき)さん=当時(16)=は、山岳部の活動と勉強を両立させ、卒業後の進路に思いを巡らせていた。事故から二年、同級生は卒業してそれぞれの道を歩む。父勝さん(47)は「これまでは高校生として成長する息子を想像できた。この先は何を想像すればいいのか分からない」と喪失感を募らせる。

 幼い頃から、海洋生物が載った図鑑を見るのが好きで、海洋専門の大学の資料も取り寄せていた。お気に入りは、太古の海に生息した大型のエビのような動物「アノマロカリス」。水族館で買って枕元に置いていたぬいぐるみは「一心同体」で、一緒に火葬した。

 通っていた県立大田原高は進学校。入学後、「目の色を変えて勉強するようになった」姿は頼もしかった。同級生が受験勉強をしていた今冬、勝さんは大学入試センター試験の願書を取り寄せていた。海洋系の学部を目指したのだろうか。大学受験する息子に思いをはせた。

 三月初め、勝さんは通し番号のない大田原高の卒業証書とアルバムを受け取った。公輝さんは、入学式の写真があった。事故後、心の中で息子を成長させてきたという勝さん。「息子も卒業してくれたかな」と、こみ上げるものがあった。同時に「なぜ一年で断ち切られてしまったのか」との悔しさは消えない。

 県警は業務上過失致死傷容疑で、事故につながった雪上歩行訓練の実施を決めた教諭三人を書類送検した。「安全確認せず、漫然と部活動するのは罪だと警察が言ってくれた気がした」。再発防止につながればという期待で、心が落ち着いた。

 想像の中で成長する息子の姿も、高校卒業より先が浮かばない。「気持ちが落ち着いてきたからこそ『なぜ息子はいないのか』とふと思うことがある。いないのが当たり前になってきて、それが悲しい」

 

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