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【栃木】

藤田嗣治 自画像を初公開 「セルフ・ブランディング」の実像に迫る

初公開された藤田嗣治の自画像が描かれた寄せ書きに見入る人たち=いずれも宇都宮市の県立美術館で

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 二十世紀、欧州で最も活躍した日本人画家・藤田嗣治(一八八六〜一九六八年)のおかっぱ頭が描かれた最初期の自画像などを初展示する企画展(東京新聞など後援)が、宇都宮市の県立美術館で二十九日から始まった。東京国立近代美術館蔵の自画像も特別展示され、自身をも芸術作品として社会にアピールした藤田の「セルフ・ブランディング」の実像に迫る内容となっている。(蒲敏哉)

 初公開された自画像は、渡欧した藤田が、一九一四(大正三)年、パリの日本料理屋で開かれた友人画家桑重儀一の送別会で寄せ書きに描いたもの。

藤田嗣治のユニークなおかっぱ頭の芸術的意義が解説された、杉村浩哉主任研究員(右)によるギャラリー・トーク

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 独特の乳白色の裸婦画でモディリアニらが加わるエコール・ド・パリ(パリ派)唯一の日本人画家として一世を風靡(ふうび)した藤田だが、その人気の源は、ルーブル美術館のギリシャ彫刻の頭部をまねた、ユニークなおかっぱ頭にあったとされる。

 会場では、企画を担当した杉村浩哉主任研究員が「藤田はおかっぱ頭で自身をブランド化していった。その最初期が分かる貴重な自画像」と説明しながら「藤田ほど自画像を多く描いた画家はなく、ここに展示するいくつかの作品で、そのプロセスを楽しんでほしい」と呼び掛けていた。

 藤田が寄せ書きに描いたパリの住所、「シテ・ファルギエール14番地」の現在の写真や、一九二四年に同じ住所に住んだ画家清水登之の「パリ夜街」も展示され、百五年前のモンパルナスの雰囲気が味わえる演出がなされている。

 藤田とパリ時代に親友だった足利出身の画家川島理一郎の絵日記なども展示。「花を持つ少女」や自身の石こう像など十一点が展示されている。

 このほか、サメをかついで海岸を歩く漁師を描いた「海の幸」で知られる画家青木繁が、恋人福田たねの実家(芳賀町)で描いたとされる「わだつみのいろこの宮 下絵」や、たねとの子を描いた「幸彦像」など、計約百二十点が展示されている。

 企画展名は「絵を見るとき、あなたは何を見ているの?」。従来の、美術館側からの「見せたい展示」ではなく「鑑賞者側からの視点で、語り合って見てほしい」というコンセプトという。

 宇都宮市内で藤田の自画像がみつかったことから、県経済同友会(中津正修(まさし)筆頭代表理事)が特別協賛した。

 八月二十五日まで。七月二十日午後二時から藤田嗣治研究の第一人者、美術史家林洋子さんの講演会が開かれる(講演会のみは無料)。

 観覧料は一般八百円、大高生五百円、中学生以下無料。問い合わせは県立美術館=電028(621)3566=へ。

恋人の実家のある芳賀町で描かれたとされる青木繁の「わだつみのいろこの宮下絵」

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