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【栃木】

大嘗祭「斎田」近く決定 宮内庁が県内候補推薦を依頼

平成の大嘗祭の時、秋田県五城目町の斎田で行われた新米の収穫儀式「斎田抜穂の儀」。先頭は大田主=1990年9月

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 皇位継承に伴う皇室行事「大嘗祭(だいじょうさい)」で使う新米を収穫する「斎田(さいでん)」が、近く県内と京都府から一カ所ずつ選定される。宮内庁は斎田と所有者である「大田主(おおたぬし)」候補の推薦を両府県の農業協同組合中央会に依頼した。歴史に残る斎田がどこに設けられ、大田主の栄誉を誰が担うのか。秋の収穫シーズンを迎え、選定結果が注目される。 (阿部博行、北浜修)

 斎田の選定地は、その地方全体が「おいしい米どころ」のお墨付きを与えられたに等しいとされ、前例では記念碑などが建立された。全国の農業者から二人だけ務める大田主は、大嘗祭と関連行事にも参列する。前回の平成の大田主は、大嘗祭が終わった後も上皇さまの節目ごとの在位記念式典などに招かれるなど、皇室との縁が続いた。

 県の選定は大嘗祭の歴史上初めてで、関東では明治の千葉県鴨川市に次いで二例目。今年五月に斎田を設ける「悠紀(ゆき)地方」に選ばれた時、福田富一知事は「県内の農家、県民一人一人にとって励みになる」と県産米の知名度アップに期待を寄せた。

 大田主の候補は心身ともに健全で、農業でリーダーシップを発揮し、地域のブランド米栽培などに取り組む人が対象となり、斎田の条件と合わせて審査される。選考は河川氾濫などに備えて複数の異なる水系から候補をリストアップし、稲穂の生育状況も見ながら絞り込むという。

 関係者によると、斎田は近くに川が必要とされる。収穫儀式に参列する大田主らの穢(けが)れをはらって布に移し、川で洗い流す神事を行うからだ。対象地域に風水害や病害虫の発生がないことも条件。前回は皇室行事の妨害を狙う過激派の事件が相次ぎ、警備しやすいことも重視された。

 県と京都府の神社庁は十一月の大嘗祭に向けて、複数の氏子の稲田を「奉祝田(ほうしゅくでん)」に指定し、神事を通じて府県全域をはらい清め、新米の豊作を祈願した。前回は秋田、大分両県の斎田のうち、大分は奉祝田から選ばれており、今回も有力視する向きがある。

 宮内庁は、農協中央会から大田主に推薦された農業者に「新穀供納願(きょうのうねがい)」の提出を求める。「天皇陛下の即位後一世一代の大嘗祭に、国民有志が『ぜひ納めさせていただきたい』と願い出る形を取る」という。実際は百八十七キロずつの供納米を宮内庁が買い取る。

 明治以降の斎田の地を訪ねた民族研究家の森田勇造さん(79)は「大嘗祭の関連行事のうち斎田の選定と収穫儀式は、地方の庶民が脚光を浴びる場面であり、注目したい」と話している。

<大嘗祭> 天皇が即位後初めて迎える新嘗(にいなめ)祭で、神々に新穀を供え、自らも食べて国の安寧と五穀豊穣(ほうじょう)を祈る儀式。新米の収穫地「斎田」を設ける東日本の悠紀(ゆき)地方と西日本の主基(すき)地方はカメの甲羅を焼き、ひびの割れ方で占う皇室行事で決め、今回は五月に皇居であった。戦前は知事が選定を主導したが、前回から憲法の政教分離の観点で知事の直接的関与はなくなった。

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