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【栃木】

<11日に考えた>迫る台風 高まる架け替え機運 足利市のシンボル・中橋

3連アーチが美しい市のシンボル橋「中橋」=足利市で

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 渡良瀬川をまたぐ緑色の三連アーチが特徴の足利市のシンボル橋「中橋」は、両岸の進入部分の堤防が周囲より約二・五メートル低く、大雨時に氾濫する危険がある。国は重要水防箇所として危険度Aランクに指定するが、半世紀に及ぶ架け替え議論は進んでいない。総事業費百億円とも言われるが、全国で相次ぐ大型台風被害など激化する自然災害を背景に、機運が一気に高まっている。 (梅村武史)

 中橋は老朽化も深刻で、車道、歩道も狭い。架け替えの際は、河川を管理する国と道路を管理する県が費用を負担し、周辺整備は市が担う。総事業費は公開されていないが、一部関係者は仮橋設置や現橋の解体を含め約百億円を見積もる。

 鬼怒川が氾濫した二〇一五年九月の関東・東北水害などを受け、国、県、市は一六年七月、「中橋整備検討委員会」(委員長・高田昇一国土交通省渡良瀬川河川事務所長)をつくり、検討を重ねてきた。今年三月、周辺住民を集めた説明会で大まかな構想を示した。

■検討委の構想

 検討委の「イメージ図」などによると、現在の中橋の場所に、橋桁を高くして両岸の堤防を越える構造。左岸はJR両毛線の上を通り、通二丁目の交差点に下りる。車道と歩道を合わせた幅は現在の十一メートルから二十〜二十三メートルに拡大する。

 説明会に参加した通二丁目自治会の鈴木誠二会長(73)は「強い反対は出ず『川が氾濫したら大変』など早期架け替えを望む声もあった」。中橋問題に長年携わる木村好文県議は「架け替え機運がかつてなく高まっていると感じた」と話す。

堤防上に積み上げられた土のう。大雨の際は橋両岸に積み上げて氾濫を防ぐ=足利市で

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■さまざまな思い

 ただ、現段階では架け替えコストが高い三連アーチは継承されるのか、仮橋の設置方法、歩行者や自転車への影響など詳細な姿が見えない。鈴木会長は「議論は具体案を見てから。コミュニティーが分断されるのは困るし、橋下になった地域の衰退も避けたい」と住民の思いを口にする。

 架け替えの主体ではない足利市は三連アーチの維持にこだわる。和泉聡市長は「中橋は足利の顔。丁寧に国、県に要望していく」と語る。池沢昭副市長は二一年一月の市制百周年をにらみ「市の看板事業として新しい三連アーチ橋の姿を示し、災害に強い街もアピールできれば」と話す。

 近代化遺産を研究する足利大の福島二朗准教授は「市の歴史や文化が詰まっている橋。残す努力が必要」と架け替え反対の立場。関係者の思いはさまざまだ。

■議論、本格化へ

 国は九月下旬から地質調査を進めており、来年六月末までに予備設計を行う予定。その後、検討委として具体性のある案を改めて示す方針だ。全市を挙げた本格的な議論はここから始まる。

 渡良瀬川河川事務所の岡戸昌利副所長は「一年でも早く架け替えに着手したいが現橋の延命案も考慮する。いずれにしても幅広い合意を取り付け、一歩を踏み出したい」と話している。

建設中の中橋(1936年3月撮影、足利市提供)

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<中橋> 足利市の中心市街地と渡良瀬川南側の東武伊勢崎線足利市駅を結ぶ。橋長295メートル。19世紀末のドイツで生まれたブレースドリブ・タイドアーチという構造で、同構造の橋は全国10カ所に残るのみ。

 1934年着工、完成は2・26事件があった36(昭和11)年で、同年8月7日の花火大会当日に開通式が行われた。県、市、東武鉄道が共同事業者で当時の総事業費は35万円。東武が10万円、市が5万円負担したと記録に残る。

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