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【栃木】

創立70周年 宇大・石田学長に聞く(下) 「教員交流斬新な研究成果」

「地域から気候変動など人類が直面する課題に向き合う」と強調する石田学長=宇都宮市で

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 −県内の私大を含めた大学連携のあり方は。

 県内の全ての高等教育機関が連携し大学コンソーシアムをつくっていて私が理事長を務めている。現在、学生が別の大学で授業を受けて単位を取得することもできる。

 教員と学生が向かい合う授業はもちろん必要だが、共同教育学部も含め、本学のこうした授業はデジタルデータとして蓄積し、将来、県内の私大にも提供できるようになれば、地域の大学にもお役に立てるだろう。

 特に、幅広い教養教育の設置に苦労されている、県内の単科系大学にも、将来はぜひとも利用してもらい、地域全体の人材養成力の向上につなげたい。

 −世界の中の宇大としてアピールすることは。

 オプティクス教育研究センターの光工学研究は、基礎も応用も質が高い。この分野で世界的に論文が引用されている回数が多い日本人研究者の上位五人のうち一番と二番は宇大の教員だったこともある。

 二年前には、大学院生だった熊谷幸汰博士が3D画像の研究では、日本学術振興会の育志賞を受賞した。これは先の天皇陛下が、ご下賜くださった資金をベースにつくられた賞で、全国の大学院生の中から年間十人程度しか選ばれない栄誉あるものだ。

 もう一つはバイオサイエンス教育研究センターの研究で、極めて評価が高い。

 コンパクトな研究所に、遺伝子操作も含めて、バイオ系の研究に必要な、ほとんどの分析装置が集積している。

 そこで、農学系だけでなく、工学系も含めた全学の教員が交流し、意見交換しながら研究を進めていける環境が、斬新な研究成果を生み出している。

 所属する複数の教員が文部科学大臣から表彰を受け、ほぼ全ての教員が所属学会から学会賞を受けている。世界にアピールできる大学の強みと言える。

 −宇大は多彩な人材を輩出しています。二十三日の創立記念セレモニーに向けての抱負は。

 OBには、カラス博士として名高い杉田昭栄名誉教授や、北海道電力の藤井裕(ゆたか)社長、ニトリの白井俊之社長、さらには写真家の高砂淳二さんなど幅広い分野で活躍する方も多い。

 各学部には、それぞれの同窓会があり、独自の活動をしてきており、大学にもさまざまな支援を頂いている。

 これを束ねる形で全学の同窓会があり、さらに活性化して同窓会と大学とのネットワークを今まで以上に強くしていきたい。

 タイや台湾、中国にも同窓会があり、タイの名門カセサート大の二人の副学長も宇大大学院で修士、博士を取ったOBだ。

 ただ、どんな組織も同じだが、若い人の同窓会加入率は高くない。人間関係の希薄さが進んでいるが、人と人が向き合うことは大切。創立記念を、宇大の同窓会強化につなげたい。

 −記念セレモニーや、写真展の会場は、宇大の象徴的な建物、峰ケ丘講堂で行われます。

 学生や教職員には、現在、社会が抱える最も大きな課題となるSDGs「持続可能な開発目標」をテーマに写真作品を募集した。

 巨大台風の襲来では、栃木を含め首都圏で甚大な被害が発生した。

 本学を含め、大学が何のためにあるのかと言えば、まさに気候変動、飢餓や人権といった問題から、イノベーションや持続可能なまちづくりなどSDGsが掲げる十七の目標課題を解決するための研究と人材を輩出するためにあると言っても過言ではない。

 SDGsのマインドを持って世界中の自然を取材対象としている高砂さんの写真展が、伝統ある講堂で行われるのは、宇大が、人類が直面する課題に向き合う大学であることを再確認する貴重な機会になるのではないか。(まとめ北浜修)

 

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